ヤマハが開発した「人工知能演奏システム」とベルリンフィル・シャルーンアンサンブルが共演したコンサート「音舞の調べ~超越する時間と空間~」の映像の一部が公開された。

今年の5月に東京藝術大学奏楽堂で開催されたコンサート「音舞の調べ~超越する時間と空間~」(主催:東京藝術大学、東京藝術大学COI拠点)では、人と機械の音楽の世界での共演を実現しているが、その映像の一部がYouTubeに公開された。20世紀のピアノ巨匠、故スヴァトスラフ・リヒテル氏の往年の演奏を蘇らせるこの試み。自動演奏ピアノ"Disklavier"と世界的名演奏家集団ベルリンフィル・シャルーンアンサンブルの演奏が共演している。

精度を高めるために、ベルリンフィル・シャルーンアンサンブルのメンバーと何度もリハーサルを重ね人工知能演奏システムの改良を重ねたというが驚くべきは、マイクやカメラを用いてベルリンフィル・シャルーンアンサンブルの演奏に合わせてその動きを分析し、リアルタイムで行うべき演奏を逐次予測し、アンサンブルを奏でている。

映像では、1分10秒あたりから人工知能演奏システムの解説が行われているが、合奏で人間が自然に行うことをAIは模倣、具体的には演奏者それぞれがどう弾きたいかという意思を違いに尊重する、お互いに聴き合ってタイミングを揃えようとするなどの行為をソフトウェアで実現しているそうだ。

リヒテル氏の往年の演奏を忠実に再現したデータを使い、同氏が円熟期に愛用したというヤマハのピアノ「CF」の後継機種であたるコンサートグランドピアノ「CFX」に人工知能演奏システムが搭載された特注の"Disklavier"を使うなどその卓越した技術から20世紀最大のピアニストとも評されるリヒテル氏を最高のメンバーたちと再現した。ヤマハ人工知能演奏システムの究極の目標も「今すぐ弾きたい、あの人たちと。」を実現すること。

同社は、昨年より文部科学省と科学技術振興機構の事業「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)の拠点の一つ「東京藝術大学COI拠点」に参画しており、今回の活動もその一環となる。