レッドハット プロダクト・ソリューション本部 本部長 岡下浩明氏

レッドハットは8月4日、コンテナに関する戦略説明会を開催した。プロダクト・ソリューション本部 本部長の岡下浩明氏は、「今日は、コンテナはデプロイと運用を再発明する技術ということを伝えたい」と述べ、説明を始めた。

岡下氏は、コンテナがデプロイと運用を再発明すると考える根拠についてて、「さまざまなアプリをコンテナにパッケージして、ホストOSにデプロイすることで、さまざまな環境に容易にデプロイすることが可能になるという高い互換性を実現している。運用管理者はアプリの種類に関わらず統一された手法で管理することができるようになる。コンテナはアプリのデプロイと運用に統一手法を提供する」と述べた。

さらに、集約されたコンテナを活用するために必要なものとして、オーケストレーション環境が必要であり、同社はコンテナをオーケストレーションする製品として「Red Hat OpenShift Container Platform」を提供しているとした。

コンテナの活用に必要なオーケストレーション環境。レッドハットはコンテナをオーケストレーションする製品として「Red Hat OpenShift Container Platform」を提供

同製品は「Red Hat OpenShift Enterprise」をリブランドしたもので、その理由について、「コンテナをベースに企業システムを開発していくことが始まった。こうした状況を踏まえ、われわれがコンテナに注力するというメッセージとなる」と岡下氏は語った。

同製品は、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を基盤として、コンテナ基盤サービス、DevOps支援サービス、コンテナ管理を提供する。同社は「Container as a Services」と称し、「これまでのPaaSとは違う」という。

同社は開発者、開発/テスト、プロダクション、データセンターとさまざまな用途に対しコンテナ環境を提供していく。6月に開催されたRed Hat Summitで、開発者には「RedHat Container Developer Kit」に含まれる「Red Hat OpenShift Container Local」を無償で提供すること、開発・テスト用に「Red Hat OpenShift Container Platform」を提供することが発表された。

レッドハットのコンテナに関するポートフォリオ

また、岡下氏はコンテナ技術の導入を検討するうえで重要なこととして、堅牢な基盤とデファクトスタンダードの技術を採用することと述べた。「Red Hat OpenShift Container Platform」は、安全性が確保された「Red Hat OpenShift Enterprise」上にコンテナ環境を構築するとともに、コンテナフォーマット「Docker」やオーケストレーション技術「Kubernetes」といったデファクトスタンダードの技術に対応しているという。

コンテナの安全性確保については、独自の認定制度が紹介された。「アプリケーションやライブラリの更新方法が不明」「どのコンテナホストOSでも動作するかが不明」なコンテナアプリケーションが企業基盤に取り込まれる可能性があることから、同社は「作成者が特定でき、信頼されたコンテナアプリケーション」「コンテナアプリケーションのアップデートやセキュリティ問題の解決方法が提示されている」「RHELでビルドされている」「他の環境への移植性が高い」アプリを「Red Hat 認定コンテナアプリケーション」として認定している。

コンテナのパートナー戦略の一環として、Red Hat Summitでコンテナ向けのパートナープログラム「OpenShift Primed」が発表されている。認定を受けるには、OpenShift Originを含むOpenShiftの任意のバリエーションとの統合を示す技術的証拠を提出する必要がある。国内では初めて、日立製作所が提供する「Justware」が認定を受けている。そのほか、国内のCertificate Cloud Service Provider(CCSP)からのコンテナの提供、パートナー企業からのOpenShiftのサポートサービスを提供する環境を整備する。

コンテナに関するパートナー戦略

そして8月4日、同社のコンテナ技術と関連製品ポートフォリオに基づく、DevOpsディスカバリーワークショップとDevOpsコンサルティングサービスの国内で正式に提供されることが発表された。

同ワークショップは、DevOpsによるアジャイル開発を志す企業に対し、無償で成熟度判定と次なるステップを示すもの。DevOpsの主な成功要因ごとに実現レベルを企業とのディスカッションを通じて成熟度判定マトリクスにプロットを行う。

同コンサルティングサービスでは、成熟度判定結果とそこから出た課題や目的に沿って、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat OpenShift Container Platform、Red Hat JBoss Middlewareによるアプリケーションサービスなどを活用したコンサルティングを行う。

DevOpsディスカバリーワークショップとDevOpsコンサルティングサービスの概要

国内ではあまり導入が進んでいないコンテナだが、同社の顧客であるPayPalはRed Hat OpenShiftを導入したことで、ユーザー部門への基盤提供を数週間から数分に、また、アプリケーションの更新時間を5時間からに短縮したという。国内でもそろそろコンテナを導入する企業が増えてくるかもしれない。