ソフトバンクグループは22日に開催した定時株主総会で、ニケシュ・アローラ氏が代表取締役副社長から退任することを正式決定した。アローラ氏は孫氏の後継者とされた人物。7月1日より顧問としてソフトバンクグループのビジネスに携わることになるが、経営の中枢から身を引くことで、後継者問題は事実上白紙に戻ったことになる。

代表取締役副社長から退任したニケシュ・アローラ氏

後継者問題白紙のワケ

ニケシュ氏はグーグルの最高事業責任者を務めた人物。約10年間グーグルに在籍し、経営陣の一人として戦略的パートナーシップからマーケティングなど様々な分野で手腕を発揮してきた。そんな同氏がソフトバンクグループ(当時のソフトバンク株式会社)に参画したのは2014年10月。それから半年近く経過した2015年5月11日の決算説明会の場で、孫代表の後継者筆頭として紹介されたのである。

それまでにも、後継者問題について言及することはあったものの、具体名は示されることはなく、入社から1年足らずで後継者筆頭に上り詰めた人物として、世間を驚かせた。それからわずか1年。アローラ氏は代表取締役副社長を退任することになり、後継者問題は白紙に戻ってしまったわけだ。

今回の経緯について、ソフトバンクはプレスリリース上で、トップ交代の時間軸のズレが問題だったとしている。孫氏は当面の間、トップとして指揮を執り続けたいという意向があったのに対し、アローラ氏は数年内での交代を希望していたという。

株主総会では、現在58歳の孫氏は、60歳の誕生日を迎える2017年8月11日をトップ交代の時期としていたと明かす。グーグル共同創業者のラリー・ペイジ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグらシリコンバレーの有名な経営者はまだ若い。そうした彼らから比べると、60歳は"化石のような存在"と自ら指摘する。さらに「60歳の誕生日にバトンを渡そうと本当に思っていた」(孫氏、以下同)とするが、60歳まであと1年余りに迫った今、やり残したことは多く「また欲が出てきて、もう少し社長を続けたいと思って今日の発表にいたった」と説明した。