住友電気工業(住友電工)と国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研、AIST)は6月2日、産総研の情報技術研究部門内に「住友電工‐産総研 サイバーセキュリティ連携研究室」を設立したと発表した。同研究部門の研究拠点の1つである関西センターを拠点とし、産総研としては、関西地区で初めての企業の名称を冠した連携研究室になるという。

サイバー・セキュリティ対策が必要という想定対象製品

同研究室は、加速的・集中的研究開発を実現するために2016年4月に制定した産総研連携研究室制度を利用。産総研が持つセキュリティ技術を住友電工の主力製品であるインフラ/産業システム/交通関連機器に実装し、セキュリティ強化の研究開発を進めることにより、これら製品の信頼性を高め、さらなる社会の安定に貢献していくことを目指すとしている。

また同研究室では、住友電工の情報通信/自動車/環境エネルギー/エレクトロニクス/産業素材といった各事業領域におけるネットワークに接続する電子製品群を対象にサイバー攻撃への対策技術について研究する。

特に、産総研の保有する暗号技術や組込みシステム高信頼化技術などを適用したIoTセキュリティ技術を中心的な技術と位置付け、まずは、住友電工の主力製品である自動車・交通関連のセキュリティや、自社の工場生産設備のセキュリティを対象に実証実験を行い、技術課題を抽出し、実用化に向けた開発を進めていくという。

また、これらの研究を通して、製造業におけるセキュア開発プロセス全体の高信頼化を図ると共に、国内で逼迫しているセキュリティ人材の育成にも注力していく方針だ。