ソフトブレーンは3月22日、都内で記者会見を開催し、ソフトバンクロボティクスとフランスのALDEBARAN Robotics SASが共同で開発する人型ロボット「Pepper」を使った受付アプリ「eレセプションマネージャー」を2016年4月1日より販売開始すると発表した。価格は税別でPepper1台あたり月額8万円(別途Pepperのレンタル料金1台あたり5万5000円が必要)。
冒頭、ソフトブレーン 代表取締役社長の豊田浩文氏は「経済産業省のロボット産業市場動向調査によると、2025年に5兆3000億円、2035年には9兆7000億円に市場規模の拡大が見込まれている。そのような中で既存の営業支援システムである『eセールスマネージャー』で蓄積した営業データの新しい活用方法はないか、マルチデバイスに対応してきたわれわれであれば営業データをロボットで活用できるのではないか、人間とロボットの分業もあってもいいのではないかと考え、eレセプションマネージャーの開発に至った」と述べた。
eレセプションマネージャーは、名刺・顧客情報とPepperが連動し、個別に来客対応をする新しい形の受付アプリ。スケジュールに来客登録するだけで、来訪者にQRコードが自動で発行されメールで通知し、来訪者は受付時にそのQRコードをPepperの額にあるカメラにかざすと担当者に電話で来客した顧客名が通知される。
また、案内を待つ間、Pepperが顧客ごとに個別のコミュニケーションをとり、内容は担当者にリアルタイムにメール通知され接客時の話題を提供する。従来の受付は、人が対応するタイプと内線電話が置いてあるタイプの2種が主流だが、eレセプションマネージャーはPepperを使った受付であり、受付時間を顧客満足度向上の時間に変えることができるという。
必要なデータを自動で呼び出し対応するため、人が介するときに生じる情報連携の時間や伝達ミスもなく、顧客に伝えたい情報を個別に伝えることが可能だ。例えば、名刺交換日や登録数のデータから「いままで御社の○○人と名刺交換をしました」など関係が継続していることを伝えたり、スケジュールデータから次回の来客確認を行う。
国内販売は、ソフトバンクコマース&サービスが行い、同社の流通網を活用し展開していく予定とし、同社への導入も決まっているほか、パソナテックには選考導入している。来客スケジュールを登録・閲覧できるユーザーは無制限、名刺・顧客情報を登録できるCRMライセンスが10ライセンス。また、追加オプションとして顧客情報を登録できるCRMライセンス追加パック(10ライセンス単位)を月額7000円(税別)で用意している。
将来的に、ソフトブレーンでは人事部門での採用受付やホテル、病院などの受付でも活用できるようニーズに合わせて、Pepperが話せるコメントやシナリオを随時追加していく。さらに、インプット機能の強化を図り、訪問内容・人数・目的などの履歴の収集や訪問者をカメラで写真撮影し、担当者に通知するなどの機能も追加する予定。海外販売に向けた多言語対応も視野に入れている。
最後にソフトブレーン 開発部長の小田健太氏が今後の開発予定について「AIに対する取り組みを始めていかなければならない。CRM/SFAにより顧客個別の商談履歴が蓄積され、AIサービスを使うことで全社の膨大な商談履歴から勝ちパターンを分析し、Pepperが可能性のある商品を顧客に提案することを考えている。例えば、IBMのWatsonを搭載したPepperも展開されるため、それに合わせたeレセプションマネージャーの開発なども手がけていきたい」と期待を込めた。