日本マイクロソフトは3月22日、新バージョンとなる基幹業務ERP「Microsoft Dynamics AXクラウド(Dynamics AX)」を提供開始した。同システムは、137の国と地域の法制度に対応し、40の言語、各種通貨で使用することが可能となっている。
同システムは、東日本・西日本の2つのデータセンターリージョンから提供される「Microsoft Azure」を中心基盤に提供されることから、「Microsoft Dynamics CRM」や「Office 365」との連携だけでなく、Microsoft Azure上にあるワークフローやBI、AIといった各種サービスも組み合わせて利用することが可能となっている。同社の執行役 兼 Dynamics ビジネス統括本部長の岩下充志氏は、Dynamics AXがマイクロソフト製品に加わることによって、「われわれの取り組みの1つである、"プロダクティビティとビジネスプロセス"がほぼ完成形となった」とコメントした。
「Microsoft Power BI」と接続することも可能なため、可視化された最新分析結果を、いつでも、どこでも、どのデバイスからもその情報にアクセスすることができ、素早い意思決定に役立つビジネスソリューションとしての機能が強化されている。
また、クラウドという特性から、組織の変化に応じてシステムを拡張することができるようになっている。導入時はスモールスタートし、状況に応じて拡張させていくといったことが可能というわけだ。構築についても、短期間での構築が可能となっており、さらに海外現地に構築する必要がある場合でも、日本からリモートで構築し、運用・監視なども含め、統合管理を行うことがメリットの1つとしている。
同システムは、パブリッククラウドサービスとして、ユーザー単位の月額サブスクリプションモデルで提供される。販売は、従来のライセンス ソリューション パートナー (LSP)と、クラウドソリューションプロバイダ(CSP)からの経由となる。ライセンス形態は3種類あり、人事・経費管理の申請といった一般社員向け機能を提供するSelf Serveライセンスと、申請の承認や作業指示のディスパッチ、オペレーションが可能となるTaskライセンス、財務会計や経理処理、生産管理作業指示持、プロジェクト管理、店舗管理、在庫管理、営業マネージャーといった機能を提供するEnterpriseラインセンスである。
同社のDynamics ビジネス統括本部 Dynamics BG シニアプロダクトマネージャーの杉本奈緒子氏は、「使い分けてライセンスを選んでもらうことが可能となった」としつつ、重要なことは「今まで管理部門しか見られなかったような経営状況に関するデータを、一般社員も知ることができるような環境となっていること」とした。
日本における販売ターゲットについては、250~5000人規模の中・大規模で、グローバル対応を必要としている組織とされた。販売戦略については、業種・業態に特化したソリューションで販売していくという。また、岩下氏は次のように語った。
「マイクロソフトはこれまで歴史的に、パートナーとビジネスを進めてきたが、これからはマイクロソフトとパートナーだけでなく、パートナー同士の協業を進めていきたい。また、マシンラーニングやIoT、BIなど、さまざまなクラウドの機能を活かせるようなアプリケーションをISVにつくってもらい、戦略的なパートナーシップを結びたい」