ヤフーは12月15日、同日開催の取締役会議において、一休の株式等を金融商品取引法による公開買付け(TOB)により取得することを決議した。
同社はこれまで、eコマース事業を収益の柱として成長させるべく、インターネット旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」においては、独自の宿泊予約プランを掲載する新商品「Yahoo!トラベルプラン」を展開。2013年にスタートした飲食店のリアルタイムWeb予約サービス「Yahoo!予約飲食店」では、2015年11月末時点で1万7,000店以上の店舗と契約を結び、スマートフォン等で今すぐ入れる飲食店を探せる「空席レーダー機能」のリリースなど事業展開に取り組んできた。
一方、一休は高級ホテル・高級旅館に特化したオンライン予約サイト「一休.com」、プレミアムな宿泊特化型ホテルのオンライン予約サイト「一休.com ビジネス」、厳選レストランの即時予約サイト「一休.com レストラン」などを運営。会員数は、2015年9月末時点で約413万人となる。
このたび、同社の筆頭株主で代表取締役社長となる森正文氏が所有する普通株主の全部を、売却後においても継続的に対象者の成長をサポートできるパートナーに譲渡したいという意向を受け、パートナー候補の検討を開始していた。
また、両社は、2007年11月より宿泊関連事業において業務提携しており、ヤフーが提供する旅行関連情報提供サービスに、一休が販売する宿泊プランを掲載してきたほか、2011年1月からは、飲食関連事業においても業務提携を開始し、ヤフーが提供する飲食店情報提供サービスに、一休が飲食店の情報を提供するなど取り組みを重ねてきた。
ヤフーが2015年11月6日、一休に対して、普通株式のすべてと本新株予約権のすべてを取得する意向表明書を提出したことを受け、両社で協議・検討を行った結果、一休の持つ宿泊施設・飲食店とのネットワークや良質な顧客基盤と、ヤフーグループの有するノウハウや人材・ネットワークといった経営リソース・インフラの更なる有効活用を通じて、現状の業務提携関係を超え、両社が成長力および競争力を一層強化することが可能となるとの認識で一致したという。
期待する事業シナジーとしては、「Yahoo!トラベル」「Yahoo!予約飲食店」など、ヤフーのeコマース関連サービス利用者に対し、一休が有する宿泊施設や飲食店に関連する情報を幅広く提供し、サービスへの利用促進を行うことで、一休の収益基盤を強化できるのではとしている。