アイ・エム・ジェイ(IMJ)の2016年卒向け新卒採用施策「落ちたら、採用します。」が、2015年グッドデザイン賞を受賞した。

「落ちたら、採用します。」は、「企業が(恋に)落ちたら、学生を採用(結婚)する」という企画。採用母集団形成から選考、内定までの一連の流れにおいて、「恋愛」「結婚」をテーマにして学生の本当の魅力や能力を引き出し、企業とのマッチングをはかる新卒採用フローとなっている。

学生は、定型的な設問のエントリーシートや面談ではなく、同社のミッションを体験できる身近な題材で自己PRができ、IMJ側は、ニーズの把握、調査・分析、企画、プレゼンなど実務に沿った工程を見ることで、学生とのマッチングを判断することができるという。

具体的なフローとしては、まず、学生イベントで、指輪を模したふせんのノベルティを配布。結婚指輪を想起させるデザインで、同社の学生との出会いに対する本気度を表したという。内箱のQRコードから、採用サイトへ流入できるような仕組みとなっている。

学生イベントで配布したノベルティ

一次選考は、「デートプランの考案」となっており、ペルソナを作成して、目的やテーマを設定しながら企画を行っていく必要があり、デートという枠の中で、人を喜ばせるためにどのようなアイディアが出てくるか、学生たちの企画力にとどまらず、表現する力も見ることができるという。

二次選考は、「デートプランのプレゼン」。「勝負服」という条件のため、リクルートスーツで来る学生はおらず、全ての学生が自分らしいスタイルで、リラックスした中で面接が行われたという。

三次選考は「グループでプロポーズプランの考案」。ただ単純にプランを考えるのではなく、「東大卒の売れない芸人」「釣りガール」など個性的な相手と、「予算ゼロ」「炎天下の甲子園球場」などの条件や場所に関する情報が書いてある9枚のカードから、それぞれランダムで1枚ずつ選びプランを考えたという。

最終選考は「テーマフリーのプレゼン」。恋愛・結婚でいうなら最難関の「両親へのごあいさつ」にあたる役員との最終面談は、自分の持ち味を最大限活かしてもらうため、テーマフリーのプレゼンを実施したという。

内定となった学生には、赤い糸がモチーフとなっているお皿と「落ちたので、採用します。」と記載された内定理由を記した内定書が贈られた

本施策を実施した結果、学生から「相手を楽しませるということを意識し、自分の好きなことや持ち味が分かった」「女の子を落とすのにも提案と改善が必要だと思った」など、普通の選考では出てこないような感想が寄せられたという。また、57名のエントリーから14名の内定承諾となり、同社では効率的な採用が行えたとしている。

グッドデザイン賞の審査員からは、「マンネリになりがちな新卒採用のプロセスにおいて、そのアプローチから大胆に企画し、学生が心を開きやすいテーマやそれに連動したツール周りのデザインもとてもまとまっている。 こうした取り組みもここからマンネリにならないように進化させながら継続をしてほしい。ノウハウ提供などにより世の中へのいい普及と広がりをつくれるとなお良い」とコメントされたという。