アドビ システムズ(以下、アドビ)は9月15日、東京都・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京にて、年次カンファレンス「Adobe Digital Marketing Symposium 2015」を開催し、クロスチャネルキャンペーン管理ソリューション「Adobe Campaign」の国内市場における本格展開を開始すると発表した。

「Adobe Campaign」公式Webサイト イメージ

Adobe Campaignは、同社の提供するデジタルマーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」を構成する8つのソリューションの中の1つ。WebサイトやEメール、ソーシャルメディア、モバイルなどのオンラインチャネルと、コールセンターやダイレクトメール、POS端末などのオフラインチャネルによるオムニチャネルでのマーケティングを自動化することで、より効率的に顧客とのOne to One コミュニケーションを実現する。

アドビ システムズ デジタルマーケティング事業部門 Adobe Campaign米国担当バイスプレジデント シュテファン ディートリッヒ氏

今回の日本国内における本格展開に際し、同社デジタルマーケティング事業部門にてAdobe Campaign 米国担当バイスプレジデントを務めるシュテファン ディートリッヒ氏が来日し、記者説明会に登壇。「従来型のマーケティングは、Webやソーシャルなどチャネルごとにデータベースを持ち、結果として、それぞれが一貫性のないエクスペリエンスを提供していた」と説明する。

一方、Adobe Campaignでは、データソースの連携により一元化された顧客プロフィールを生成し、クロスチャネルで統一されたエクスペリエンスの提供を実現。分析ソリューション「Adobe Analytics」やWebコンテンツ管理ソリューション「Adobe Experience Manager」等のAdobe Marketing Cloudソリューションと連携することで、企業は顧客の興味・関心をリアルタイムに把握することもできる。

また、同ソリューションは2014年の提供開始以降、世界90カ国にて600社以上に導入されており、日本では全日本空輸(以下、ANA)が先行導入を実施。導入は、クラウドだけでなくオンプレミスでの対応も可能で、個人情報やCRMの情報はオンプレミスで管理し、Eメールやモバイルメッセージの配信のみクラウドで行うといったハイブリッド型も実現する。

なお、同社は今後、日本市場のニーズに対応するため、国内通信事業者各社の携帯メールやSNSなど日本特有のチャネルへの対応も進めていくほか、Adobe Campaignの基本的な機能を日本語にてわかりやすく紹介する「クラスルームトレーニング」も提供。同社のコンサルティングサービスであるAdobe Consultingや、トランスコスモスやシンフォニーマーケティング、ディレクタスといったパートナーによるカスタマイズしたサービス設計の選択肢も用意する。

旅割のサイト訪問者に対し、スピーディーなフォローアップが可能に

同記者発表会には、Adobe Campaignの導入先として、ANAのマーケティング室マーケットコミュニケーション部 デジタルマーケティングチームにてリーダーを務める冨満康之氏も登壇した。

全日本空輸 マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 デジタルマーケティングチーム リーダー 冨満康之氏

同社は2015年4月の組織改編に伴い、ペイドメディアとオウンドメディア、アーンドメディアという3つのメディアを活用した「統合的なコミュニケーション」と、顧客のプロファイルや行動データに基づく「パーソナライズ化されたコミュニケーション」の実現を目指し、取り組みを強化しているという。

「弊社はこれまで、Adobe Analyticsを導入しておりましたが、4月にAdobe TargetとAdobe Audience Manager、Adobe Socialを新たに導入し、顧客の行動データやプロファイルデータを掛け合わせることで、顧客のターゲティングとコンテンツの出し分けを行ってきました」(冨満氏)

これにより、たとえばANAの旅割でも、顧客によって表示されるコンテンツが異なる仕組みを実現。しかし、LP(ランディングページ)やWebサイトへ顧客を誘導するという流入フェーズにて課題が残っており、解決策としてAdobe Campaignの導入に至ったと説明する。

「現状、一度訪問し離脱した顧客に対し、リターゲティングメールを用いてパーソナライズされたコンテンツを最適なタイミングでプッシュしています。チーム全体が驚いたのですが、これまでのシステムでは、今日や昨日に旅割を閲覧した顧客に対し、その翌日、パーソナライズされたコンテンツをメールで送るということができなかった。これを実現したことで、メールの開封率やサイトへの再訪率が格段に向上しました」(冨満氏)

同氏は最後に、「私たちの目指すコミュニケーションの実現は、マーケティングプラットフォームによって推し進めることができると考えていますし、そういった意味でAdobe Campaignには期待している」と述べた。