圧倒的なスピードで顧客のニーズを製品に反映させ、堅調にビジネスを拡大しているクラウドITベンダーがある。韓国に本社を持つジランソフトだ。1994年に、わずか4名でスタートした同社は、2015年には日本、韓国、アメリカ、シンガポールに拠点を構え、総従業員数は250人超を擁するグローバル企業に成長した。売上総額は、2013年実績で35億円を達成している。
ジランソフト日本法人で、ダイレクトクラウド事業部事業統括取締役を務める安貞善氏は、「われわれは、『3つの100』を実現することを目標としている」と、その戦略を語る。それは、2017年までに年間売上“100”億円を達成すること、2020年までに世界トップ“100”のソフトウェア企業にランクインすること、そして、今後“100”年続く企業に成長することだ。
この「3つの100」を達成するため、同社が掲げているスローガンがある。それは、「JAPAN TO GLOBAL(日本から世界へ)」だ。韓国に拠点と開発チームを持つジランソフトが、なぜ日本を世界市場に進出するためのベースキャンプと位置づけるのか。その理由について安氏は、以下のように説明する。
「日本は、ものづくりに長けており、品質に対するこだわりは世界一です。一方、韓国は新しいトレンドをいち早くキャッチし、だれよりも先に製品化して市場に届けたいというマインドを持っています。ITトレンドの移り変わりは激しい。お客様に、使いやすく堅牢なクラウド環境を、スピード感を持って運用したいと考えています。その中でわれわれは、日本のものづくりの『匠』の精神と、韓国のスピード重視の姿勢の双方を取り込むことで、爆発的なシナジーが生まれ、すばらしい製品が提供できると考えています」(安氏)
同社が提供するクラウド、セキュリティ、オンラインストレージといった分野は、技術の進歩もトレンドの移り変わりも激しい。日本企業から得たフィードバックを、韓国の開発チームがスピード感を持って製品に反映させる“連携プレイ”で、迅速に製品を市場に投入していくというのがジランソフトの戦略だ。安氏は、「(ジランソフトが拠点を持つ)韓国、日本、シンガポール以外のアジア地域にも、積極的に製品を展開していきます」と、そのビジョンを語る。
日本でも10年以上の実績、セキュリティソフトはアジア5,000社以上が導入
現在、ジランソフトは3つの事業を展開している。OEMビジネスの「Partner BIZ」、セキュリティソリューションの「Security BIZ」、法人利用に特化したオンラインストレージサービスの「Cloud BIZ」である。顧客企業数は毎年堅調に伸びており、2014年末時点では、全世界で(※)30,000社に上るという。 ※出展:株式会社アイ・ティ・アール発行の市場調査レポート「ITR Market View:ファイル共有・転送/コンテンツ管理市場2014
同社が日本でビジネスをスタートしたのは2004年。「Partner BIZ」の製品である企業向けファイル転送/共有のコミュニケーション基盤の「GIGAPOD」と、ファイルストレージ環境をクラウド化するスマートデバイス ソリューション「DirectPOD」を、トライポッドワークスにOEM提供したのが最初である。以来、トライポッドワークスはファイル転送アプライアンスとして両製品を販売しており、確実にユーザー企業数を獲得している。2013年度における企業間ファイル転送のアプライアンス分野では、市場シェア1位となっているという。
セキュリティソリューション分野では、スパム/ウイルスメールを遮断する「SPAMSNIPER」、メールの誤送信による情報漏えいを防止する「MAILSCREEN」、Webサーバへの外部からの攻撃防止機能を提供する「WEBSCREEN WAF(Web Application Firewall)」およびEnd PointのWEB接続を制御する「WEBSCREEN SWG(Secure Web Gateway)」を提供している。特に、「SPAMSNIPER」は、日本をはじめ、アジア諸国で5,000社以上の導入実績を誇る。なお、ジランソフトのセキュリティソリューションは、多数の販売パートナーから販売されており、日本でも多くの企業で導入されている。
デジタル資産の活用を強力にバックアップする「DirectCloud」
現在、同社がもっとも注力しているのが、「Cloud BIZ」の中核を担う「DirectCloud」だ。これは、企業向けオンラインストレージを中心とした、デジタルデータの共有/活用/コミュニケーション機能を提供する、ユーザー数無制限のクラウドサービスである。いつでも、どこからでもスマートフォンやタブレット端末で、ドキュメントをセキュアに閲覧/共有/送信できるオンラインストレージの「DirectCloud-BOX」をはじめ、プレゼンテーション機能を提供する「DirectCloud-VIEW」、セキュアなメッセージング機能を提供する「DirectCloud-TALK」など、10種類の機能を提供する。
DirectCloudが他の同様のサービスと一線を画すのは、その豊富な機能もさることながら、ストレージ上に保有するデジタル資産を手軽に活用できる点、そして、ビジネス環境に必要な管理機能を備えている点である。
例えば、「DirectCloud Control Center」では、ユーザーのデータアクセス履歴やファイルの送受信履歴、デバイス利用状況を管理者側でモニタリングできる。スマートフォンの普及に伴い、「BYOD(Bring your own device)」を導入する企業も増加しているが、十分なセキュリティ対策を講じている企業は少ない。しかし、DirectCloud-BOXであれば、大がかりなセキュリティソフトを導入することなく、安全なBYODが実現できるのだ。
安氏は、「DirectCloud」の優位性について、「企業のデジタル資産をセキュアに共有する『守り』と、豊富な機能でビジネスを加速させる『攻め』を兼備した、新しいオンラインストレージサービスです」と説明する。
なお、「DirectCloud-BOX」は、30日無料トライアル版が提供されている(法人利用のみ)。オプションを含むすべての機能を利用することができるので、ぜひ試してほしい。次回は「DirectCloud」について、さらにその詳細を紹介しよう。