1986年に創業し、海外のグローバルネットワークと国内のグループ会社ネットワークの双方を拡大することにより、BPO事業を成長させ続けてきたプレステージ・インターナショナル。同社は昨年、クライアント環境のセキュリティソフトウェアとして、ウェブルートの「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」を導入。3000台規模での適用を今年前半にはすべて終える予定となっている。

今回、プレステージ・インターナショナルの代表取締役を務める玉上進一氏、同社で情報セキュリティ部門の責任者を務める佐々木亘氏、ウェブルートの代表取締役社長である伊藤誉三氏に話を聞いた。

地方の力、女性の力を活用し、世界中にビジネスを展開

プレステージ・インターナショナル 代表取締役 玉上進一氏

玉上氏は、同社のビジネスについて、「われわれが推進するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業は、一言で言うと『黒子』のようなもの。顧客企業の仕事を代行しながら、価値のあることを提案していく──それがわれわれのビジネスの根幹になります」と語る。

同社のビジネスの大きな特徴としては、「グローバルにビジネスを展開していること」「日本のローカルの力、そしてそこに暮らす女性の力を最大限に活用することで、日本政府が旗印として掲げている地方の創生や女性の社会進出への寄与に重きを置いていること」が挙げられる。

同社は、2003年に秋田県に解説した秋田BPOキャンパスにおいて、人材育成をはじめ、カフェテリア・リフレッシュルーム・企業内託児所の設置、ISO27001(情報セキュリティマネジメント国際規格)の取得など、従業員が喜びと誇りをもって働くことのできる職場環境の整備に力を注いできた。

現在は約1700人のスタッフが働いているが、その8割は女性。玉上氏は「狙って女性を採用したわけではなく、結果的にこの比率となりました。地元で仕事をしたいと望んでいる高いスキルを有する女性が多いのだと思います」と話す。

さらに、2013年11月には山形県酒田市に山形BPOガーデンを開設、今年4月には当社にとって最大規模の基幹センターとなる富山BPOタウンを富山県内にオープンする予定だ。

グローバルでセキュリティレベルを一律にしたいからクラウドが最適解

玉上氏に、同社におけるセキュリティの位置付けについて聞いたところ、次のような答えが返ってきた。

「東証一部上場企業としてはもちろん、BPOという事業内容からしてもセキュリティは非常に重要なテーマ。取引先には金融機関が多く、しかもその多くがグローバルにビジネスを展開しています。そのため、個人情報の管理などセキュリティ意識がとても高いのです。そんな顧客からBPOとして仕事を引き受けるわけですから、最低限でも委託元と同等レベルのセキュリティは確保していなければなりません」

今回、エンドポイントのセキュリティソフトウェアとして「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」を導入したのも、ハイレベルなセキュリティをグローバルで一律に実現したいというのが最大の狙いだという。

さらに、クラウドのセキュリティ製品を選択した理由を聞いたところ、「グローバル企業としては、自分たちが抱える情報に危機が迫った際、リスクを最小限に抑えることのできる環境が世界中で同じように整備されていることが望ましいのです。拠点ごとに対応策がバラバラでは手間もかかりますし、情報の伝達が遅れることでリスクが増大します。当社の場合、セキュリティが破られてしまうとお客様に甚大な迷惑をかけてしまうことになります。したがって、集中管理できるクラウド型のセキュリティ製品が最適な選択肢となるのです」と話してくれた。

クラウド型セキュリティはゼロデイアタックにも効果を発揮

ウェブルート 代表取締役社長 伊藤誉三氏

玉上氏が他拠点のセキュリティレベルを一律にできるというクラウド型セキュリティ製品について、ウェブルートの代表取締役社長である伊藤誉三氏は次のように語る。

「『SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション』はクラウド型セキュリティソフトウェアなので、定義ファイル更新の手間をかけることなく常に最新のセキュリティ情報によってエンドポイントを守ることができる点でメリットが大きいと思います。昨今の脅威を踏まえると、新たなマルウェアが日々誕生しているので、これまでのように端末ごとに定義ファイルを配布するという手は現実的とは言えません。クラウド側に最新の情報を見に来てもらうという方法が最も合理的ですし、ゼロデイアタックに対抗できる数少ない策の1つでもあるのです」

ウェブルートは、クラウド型セキュリティのリーダーとして今後もセキュリティ情報の精度向上に最大限の力を注ぎ込むことで、プレステージ・インターナショナルのようなグローバル な企業をサポートしていきたいという。

クラウド型セキュリティ製品で管理上の負荷が激減

プレステージ・インターナショナル 情報管理部部長 佐々木亘氏

プレステージ・インターナショナルで、社内の情報セキュリティ部門の責任者を担当しているのが情報管理部部長の佐々木亘氏だ。

佐々木氏は、「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」の導入効果について、次のように話す。

「以前は他社製のセキュリティソフトウェアを利用していたのですが、挙動が不安定だったり管理コンソールが使いにくかったりなど、問題を抱えておりました。今回、Secure Anywhere Businessエンドポイントプロテクションに切り替えたことで、管理上の負荷が激減しました。エンドユーザーにとっても、フルスキャン時のPCの待ち時間が大幅に減少し、業務への支障を払拭できました」

プレステージ・インターナショナルでは、ロードアシスト事業として、損害保険会社や自動車メーカー向けにロードサービスを提供しているが、同事業では数千社に及ぶ協力会社とビジネスを共有している。

協力会社と密なコミュニケーションを図るため、約1000社にAndroid端末を配布しているのだが、これらにもウェブルートのモバイル向けセキュリティ製品「SecureAnywhere Business モバイル」が導入されている。

これらのAndroid端末を管理している部門でも、管理コンソールが使いやすいなど、ウェブルートの製品は好評だという。

グローバルで一律のレベルのセキュリティサービスが提供できるというウェブルートのクラウドサービスの利用するプレステージ・インターナショナルの例は、クラウドのメリットを最大限に享受していると言えるだろう。

日本では、グローバルでビジネスを展開する企業が増えており、いかにしてセキュリティを守るか頭を悩ましている企業も少なくないはずだ。そうした企業にとって、プレステージ・インターナショナルの導入例はよいヒントになるのではないだろうか。

写真:石井 健