SAS Institute Japan 執行役員 マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部 本部長 北川裕康氏

SAS Institute Japanは2月19日、2015年の事業戦略に関する説明会を開催した。説明会では、執行役員 マーケティング本部 兼 ビジネス推進本部 本部長の北川裕康氏が、2014年のビジネスを総括した後、2015年の事業戦略について語った。

北川氏は、売り上げ上位を占める規模の大きな国の中で最もパフォーマンスの高い国に位置づけられたとして、日本の2014年のビジネスが好調だったことを明らかにした。最も成長した分野としては「マーケティングオートメーション」が挙げられ、そのほか、データ可視化製品「SAS Visual Analytics」や不正防止ソリューションも需要が高かったという。

同氏は、日本のビジネスが好調だった要因について、「金融ビジネスにリソースを大きく割いたこと、リソースを大規模な顧客にシフトしたことがよかった。また、2014年はパートナー制度を変更し、協調するビジネスモデルに変えた。これにより、売り上げにおけるパートナーのシェアが20%から40%に増えた」と説明した。

ただし、2014年度の事業戦略の4つの柱のうち、「クラウド対応の促進」のみは期待通りに進まなかったという。そうしたことから、2015年の注力分野に「クラウド」が据えられたようだ。

同氏は、クラウドビジネスのはかどらなかった理由については、「クラウド以外のビジネスが予想以上に伸びたため、クラウドビジネスにリソースを割く余裕がなく、ビジネスモデルを構築できなかった」と述べた。

グローバルでは、同社製品のホスティング・サービス「SAS Cloud」、プライベートクラウド・サービス「Customer Cloud」、特定領域におけるカスタムサービス「Partner Cloud」という3つのクラウドサービスを提供しているが、国内では「SAS Cloud」の提供に注力していくという。

そして、同社の主力製品である分析基盤ソフトウェアの最新版「SAS 9.4」では、マルチテナントに対応するなど、クラウドサービスを容易に展開可能なアーキテクチャがとられている。

クラウドサービスの提供にあたり、現時点では、国内に自社データセンターを構築する計画はなく、グローバルで契約しているヒューレット・パッカードとAmazon Web Servicesのリソースを使うことになる見込みとのことだ。

注力する製品/ソリューションとしては、「カスタマーインテリジェンス」「不正検知ソリューション」「データ・ビジュアライゼーション、データ・ディスカバリー」「SAS on Hadoop」「Analyticsプラットフォームの近代化」「データ・マネジメント」が挙げられた。

「カスタマーインテリジェンス」については、「Customer Decision Hub」というコンセプトの下、今年3月に新製品が発表される予定だ。Customer Decision Hubは、マーケティング・オートメーションとリアルタイムの意思決定処理を統合し、インバウンドとアウトバウンドのオムニチャネルに対応したデジタルマーケティングの基盤となる。

加えて、グローバルなアカデミック・イニシアチブ「SAS Analytics U」の国内における本格的な推進も、2015年の戦略の優先事項に据えられている。SAS Analytics Uの活動には、SAS製品の無償提供、大学とのパートナーシップ、ユーザーコミュニティへの参加などの取り組みが含まれる。

同氏は、「現在、分析に関わる人材不足は深刻。かといって、分析に携わる人材はすぐに育つものではないので、長期的な視野で育成していく必要がある」と述べた。

なお、現在不在のカントリー・マネージャーについては、「現時点で決まっていないが、前任の吉田氏は主に北アジアのヘッドとしての活動しており、日本のビジネスは北川氏らが中心に進めていたため、業務に支障はない」との説明があった。