富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)は10月9日、教育現場における協調学習などのグループによる学習の見える化システム開発を目指し、その第1段階として、HAL東京の先端ロボット開発学科と共同で、個々の発話者を特定する仕組みについて研究を開始すると発表した。
同研究は、富士通SSLが7月より開始している、学習や企業における共創活動を支援するツール群「Webコア Innovation Suite(ウェブコア・イノベーションスイート)」の開発に関連するもの。対象のシステムとしては、グループ学習内容の映像や発声での記録・確認や、システム画面での生徒・時系列別の発言内容のキーワード表示・確認などを想定しており、場の盛り上がりやその時々の生徒の表情、手書きノートの内容を一目で確認可能なシステムを目指すという。
同社はグループ学習の見える化により、授業に対する生徒の理解度だけでなく、生徒の気づきのポイントを知ることができると説明。生徒の学びの形成の過程や生徒同志の相互作用の分析も可能となり、効果的な授業やグループ学習の進行を実現する。
研究の第1弾では、ロボット制御系技術のプロフェッショナルである鈴木克英氏の指導のもと、HAL東京先端ロボット開発学科の学生と共同で音声記録と分離について共同研究を実施し、音源定位の仕組みの検討を行う。
音源定位とは、複数のマイクで録音したグループディスカッションの内容に対し、自動で発話者を判別する仕組み。位置識別とは異なるため、参加者が動きながら発言しても、自動で声を追いかけて発話者を特定する。
同社は今後、同音源定位の仕組みを活用した「キーワードや表情の分析」を行い、グループ学習の見える化を実現するシステムの開発を目指す考えだ。