Forbesは9月29日、今年度の米国版億万長者リスト「Forbes 400」を発表した。トップのBill Gates氏やWarren Buffett氏など常連がひしめく中、40歳以下が11人ランクインした。

若くして富を得た11人の多くはシリコンバレーのハイテクベンチャー起業家たちだ。

FacebookのMark Zuckerberg氏は11人の中でも2番目に若いが、推定保有資産は340億ドルと11人の中でダントツ。「Forbes 400」でも総合11位、Zuckerberg氏の資産はこの1年で150億ドルも増え、400人中最大の増加を果たした。

Facebookは2月に190億ドルでWhatsAppを買収、続いて3月にはVRヘッドセットOculus VRを20億ドルで買収と立て続けに大型買収を発表。ソーシャルネットワークからの拡大戦略が評価され、株価に反映されているようだ。

特筆すべきは、初のランクインとなったNick Woodman氏。39歳のWoodman氏は11人の中では2番目に年長で、資産は39億ドルだ。

Woodman氏がどうやって富を得たのかというと、日本でもファンが増えつつあるウェアラブル/アクションカメラGoProだ。Woodman氏は同社を創業し、現在もCEOを務める。GoProは6月にIPOを果たしており、Woodman氏の資産はこの1年で200%も増加した。

では、今年ランクインした40歳以下の億万長者を若い順にみていこう。

11人中最年少はDustin Moskovitz氏。Zuckerberg氏と同じ30歳だが8日若く、資産は81億ドル。ハーバード大学でZuckerberg氏のルームメイトだったMoskovitz氏、Facebookの3番目の従業員だ。そのFacebookを2008年に退社し、ソフトウェア企業のAsanaを立ち上げた。職場までは自転車通勤し、プライベートジェット機は使わないという「フツー」ぶり。2011年に夫人のCari Tunaと立ち上げた慈善活動Good Venturesの展開も期待される。

次はFacebookのZuckerberg氏、そして同じく30歳のElizabeth Holmes氏が続く。Holmes氏はForbes 400初登場、スタンフォード大学を中退し、大学時代に貯めた貯金を元手に2003年に、Theranosを立ち上げた。Theranos安価でかつ痛みのない血液検査などのサービスを持つヘルスケア企業。Holmes氏の資産は45億ドル。

若い順から4番手はScott Duncan氏、31歳。多くがハイテクベンチャーであるのに対し、氏の資産70億ドルは石油・天然ガスEnterprise Productsを共同創業した父親Dan Duncan氏からの相続により得たもの。Dan Duncan氏はScott Duncan氏を含めて4人の子どもがおり、父の跡を継いだ姉のRanda Duncan Williams氏、それに残りの2人の兄弟も億万長者だ。

次はSean Parker氏、34歳。Napsterの共同創業者だが、最近ではFacebookへの出資、その後の活動で知られるようになってきた。推定資産は30億ドル。Parker氏は4月、技術を使って政治への市民参加の強化を図るBrigade Mediaの会長兼CEO職に就いている。Brigade MediaにはSalesforceのMarc Benioff氏なども出資している。

6番目はRobert Pera氏。Appleに2年勤務後、無線通信技術のUbiquiti Networksを2005年に立ち上げた。Ubiquiti Networksは途上国向けにフォーカスしており、Pera氏は現在もCEO職に就いている。Pera氏のもう一つの顔は、全米プロバスケットボール協会(NBA)のメンフェス・グリズリーズのオーナー。なお、Pera氏は日本語の学士を持つ。

7番目は37歳のJack Dorsey氏で資産は27億ドル。11人の中ではFacebookのZuckerberg氏に次ぐ知名度といってよいだろう。日本好きでも知られているDorsey氏はEv Williams氏、Biz Stone氏らとTwitterを共同創業、現在はモバイル決済のSquareにフォーカスしている。しかしSquareは2013年に1億ドル程度の損失を計上、Appleが「Apple Pay」により決済が大きく変わると予想される中でSquareの戦略が注目されている。

8番目は初登場のJan Koum氏。WhatsAppの創業者で、2月のFacebookによる買収で財務的成功をおさめた。資産は76億ドル。Koum氏はウクライナ出身で16歳のときに母親と米国に移住した。そのため、現在でもKoum氏の英語にはウクライナの訛りがのこる。

貧しい移民だったKoum氏一家は移住当初、通信費が高いので祖国の親戚や友達になかなか連絡できなかったという。これが、距離を感じることなくコミュニケーションできるサービスをというWhatsAppの構想に結びついている。まさにアメリカンドリームを実現した起業家といえる。

9番目はなにかと話題のUber Technologiesを共同設立したTravis Kalanick氏、38歳で30億ドルの資産を持つ。現在もUberのCEOを務める。その前にはPtoP技術のRedSwooshを立ち上げており、2007年にAkamai Technologiesに売却した。

10番目は先述のWoodman氏。そして最後はCharles Coleman氏、ヘッジファンドのTiger Global Managementを創業した。Coleman氏は39歳、資産は19億ドル。

ForbesによるとForbes 400の400人の合計総資産は2兆2900億ドル。これは2013年から2700億ドルの増加となり、富の集中が進んでいることを伺わせる。