日本オラクルは8月19日、クラウド型マーケティングプラットフォーム「Oracle Marketing Cloud」の発表会を開催した。企業買収により獲得した技術をベースとする4つのサービスが組み込まれており、マーケティング業務におけるさまざまなフェーズの作業を効率化/高度化できるようになっている。

日本オラクル 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博重氏

今回発表されたOracle Marketing Cloudには以下の4サービスが組み込まれている。

  • Oracle Responsys : 昨年12月に買収した米Responsysの技術を活用した、主にプッシュ型配信を得意とするクロスチャネル対応の情報配信サービス。企業が持つ顧客のメールアカウントやSMSなどに対して、ソーシャルメディア、ディスプレイ広告を連動させたかたちでシナリオを立てて配信プランを組める。

  • Oracle Eloqua : 2012年12月に買収した米Eloquaの技術を活用した、特にナーチャリングを意識したマーケティング自動化サービス。キャンペーンに対する反応などから各顧客の"熟成度"を判定してスコアリングできるなど、リードの質を高める機能が搭載されている。

  • Oracle Social Cloud : 2012年7月に買収した米Involverなどの技術を活用したソーシャルメディア管理サービス。ソーシャルメディア上でのユーザーへの返信や、ユーザーの反応を可視化するソーシャルリスニングなど、ソーシャルメディアを活用したマーケティングに必要な業務をまとめて実行できる。

  • Oracle BlueKai : 今年2月に買収した米BlueKaiの技術を活用したDMP(Data Management Platform)。Webサイトの閲覧履歴などをメディア横断的に収集し、各ユーザーの特性を解析。ターゲットとする層のユーザーに対して、個人を特定することなく広告を配信できるため、効率的に見込み客候補を増やすことができる。

オラクルでは、個別に提供されていたこれらのサービスをOracle Marketing Cloudとして統合。相互に連携できる環境を作り、マーケティング業務全般の効率化を実現している。

Oracle Marketing Cloudに含まれるサービス

米Oracle マーケティング・クラウド ゼネラル・マネジャー & シニア・バイスプレジデントのケビン・エイクロイド氏

発表会に登壇した米Oracle マーケティング・クラウド ゼネラル・マネジャー & シニア・バイスプレジデントのケビン・エイクロイド氏は、マーケティング領域においてOracleが過去2年で7社を買収してきたことを説明。いずれも各分野で最先端のソリューションを提供する企業であったことを強調したうえで、Oracle Marketing Cloudによりそれらが統合されたため業務効率がさらに高まる点を解説した。

また、日本オラクル 代表執行役社長 兼 CEOの杉原博重氏は、国内インターネット広告が世界で14兆円、国内で1兆円の市場規模に達しており、年平均成長率12%で推移していることを紹介。さらに、2017年にはCMO(Chief Marketing Officer)の管轄する予算がCIO(Chief Information Officer)の予算を上回るというガートナーの予測を引用したうえで、「これまでデータベースの分野でNo.1を獲得してきたOracleが、マーケティングの分野でもNo.1を目指す」とコメントした。

さらに杉原氏は、近年の企業買収によりOracleが世界のSaaS市場でシェア2位にあることを改めて強調。ガートナーのマジック・クラドラントにおいてCRMリード管理分野でリーダーポジションにあることや、世界で約2800社以上で導入されていることにも触れ、ソリューションとしての実績の高さを示した。

マーケティング分野でもNo.1を目指す

国内のビジネス施策について説明した日本オラクル 執行役員 クラウドアプリケーション事業統括 多田直哉氏は、米国のOracle Marketing Cloudチームと直接のパイプを持つ専任組織を発足し、海外のベストプラクティスを随時吸収していくことを説明。さらに、従来のようなシステムインテグレータだけでなく、広告代理店やWebテクノロジーに特化した企業と新たな協業関係を築き、トレーニングや認定資格の提供などを展開するとした。

今後は、自社でも積極的に活用してノウハウを蓄積する予定で、それを顧客やパートナーと共有し、より投資対効果の高いマーケティングへとつなげていく予定という。