エナジープールデベロップモン(以下、エナジープール)とシュナイダーエレクトリックは、双日を幹事会社として東京電力管内において実施される産業用デマンドレスポンス(以下、iDR)の実証事業に取り組んでいるが、6月12日、同実証事業の実質的な指令室となる Network Operation Center(以下、NOC)が完成し、実証事業の準備が整ったことから、実際に産業需要家の電力需給の調整を行う段階へと移行すると発表した。

日本国内に設置された「Network Operation Center」外観

本実証事業は、6月から東京電力の消費電力の抑制の要請に応じて、需要家の消費電力を制御するもの。春季(6月)、夏季(7-9月)、秋季(10-12月)、冬季(2015年1-2月)の季節ごとに区切って実施したのち、2015年3月に報告書を作成し、総括を実施する。削減電力量は6月現在で20MW、その後段階的に増加させ、最終的には50MW規模の電力量削減を目標としている。

今回、完成したNOCでは、契約先となる産業需要家の電力使用状況を24時間体制でモニタリングし、刻々と変化する削減可能容量を監視。最適なポートフォリオ構成の管理を行うと同時に、平時における電力使用のコンサルティングサービスも提供する。契約先の工場には、NOCとの通信を仲介するAutomation BOXを設置。これらは、電力計測機器、PLC、表示パネルで構成され、通常の自動対応のほか、現地オペレータによる手動での削減にも対応する。

多彩なポートフォリオの取り纏め概要

また、独自に開発したアグリゲーション専用ソフトを活用し、需要家ごとに異なる対応時間、削減容量、継続可能時間など、さまざまな条件に応じて取り纏めてネガワットを算出。電力会社からの要請受信から短時間での削減が可能となる。

ビル・家庭向けのデマンドレスポンスと比較したiDRの特徴

なお、iDRは、産業系電力需要家の大きな電力需要抑制の可能性をアグリゲートし、電力会社に提供する事により、夏や冬のピーク電力需要対応、発電所の計画外停止の際の予備力、再生可能エネルギーにより生じる供給力の乱高下に対する調整力などの、電力会社の電力需給バランス管理を助け、産業系電力需要家に対しては、抑制した電力(ネガワット)に応じて報奨金を提供する事により、電力コストの削減に貢献する。