Citrix Systems Japanで代表取締役を務めるMichael King(マイケル・キング)氏

米国アナハイムにおいて開催された米国Citrix Systemsの年次テクニカルカンファレンス「Citrix Synergy 2014」(5月6日~8日)には、日本からも約100名のパートナー/ユーザー企業が参加した。「Mobile Workspace」を推進するにあたり、日本ではどのような戦略を実行するのか。Citrix Systems Japanで代表取締役を務めるMichael King(マイケル・キング)氏に、現地で聞いた。

――日本で「Mobile Workspace」を普及させる戦略を教えてほしい。

King氏 : パートナーや顧客に「Mobile Workspace」がもたらす付加価値を理解してもらうには、その具体例を示すことが重要だ。われわれは2013年8月に、Citrix製品を実際に体験してもらえるよう「エグゼクティブ ブリーフィング センター(EBC)」を東京に開設した。同センターを最大限に活用したいと考えている。

資料ベースで「○○ができます。○○の機能も搭載しています」と説明するよりも、製品に触れてもらったほうが心に響く。実際、「EBCで製品を利用したことで、(自社の環境でどのように活用するか)イメージが鮮明になった」という声も頂戴している。「機能の可視化」という意味でも、EBCが「Mobile Workspace」普及の重要な拠点になることは間違いないだろう。

もう1つはエコシステムの構築だ。われわれはパートナー企業とともに「トータルソリューション」として「Mobile Workspace Suite」を提供していく。われわれの顧客は大規模企業が多いが、SMB市場にも注力している。同市場へのアプローチは、パートナー企業との連携が不可欠だ。

――Citrixが日本市場に参入して15年、King氏が社長として就任して6年が過ぎた。これまでのビジネスを振り返り、どう評価するか。

King氏 : 15年の歴史の中で、最初の10年間は「Citrix MetaFrame」(現XenApp)の訴求に注力し、多くの企業とよいパートナー関係を構築できた。私が社長に就任した時期は、仮想化/ネットワーク/モバイルなど、Citrixが提供する技術/サービスが拡大した時期と重なる。

社長就任当時には、顧客の製品導入決定のスピードは、米国と比較して1年ぐらいタイムラグがあると感じていた。しかし、今はそのタイムラグが短くなっている。現在のクラウド分野における最大の顧客は、KDDIやNTT Communicationsだ。

日本では大規模企業や政府官公庁、国立大学などが積極的にデスクトップ仮想化を導入している。例えば、日立製作所は、従業員8万人のデスクトップ環境をXenDesktop、XenAppで構築し、生産性向上を実現させている。さらに近々には、世界最大手の自動車メーカーでの導入も発表する予定だ。

――「Mobile Workspace」実現の1つとして、BYOD(Bring Your Own Device)の促進を掲げている。BYODを日本市場で普及させる戦略を聞かせてほしい。

King氏 : われわれの顧客企業は、金融、通信、政府官庁、サービスプロバイダーなど多岐に渡る。すでにデスクトップ仮想化の導入が完了している企業は、次の段階として(BYODに)関心を寄せている。また、多くの営業職員や在宅勤務を推進している企業もBYOD導入に前向きだ。

もちろん、セキュリティ確保の観点からBYODに消極的な企業が多いことも承知している。しかし、先進的な企業がBYODの導入で、社員の生産性向上と業務の効率化を実現し、その事例が示されれば、(セキュリティに対して)漠然と不安を抱えている企業にも、われわれの技術と製品がもたらす価値を理解してもらえるだろう。こうした事例を示す意味でも、EBCの存在は大きい。

「Citrix Synergy 2014」では「Mobile Workspace」戦略を実現する製品群が多数展示された