PCやスマートフォン、タブレットと使うデバイスが増加するほど、データ共有が容易となるクラウドサービスは欠かせない存在になりつつある。その一方で、ストレージサービスに関して言えば、とにかくファイルを放り込んでおくだけの"物置き"になっていないだろうか。役立ちそうだと思って保存した情報も、埋もれたまま忘れてしまっては意味がない。
そんなクラウドサービスの代表格である「Evernote」の存在は読者もご存知のことだろうが、このサービスは情報を溜めるだけでなく、"有効にデータを活用する"という観点でデータを蓄積できる機能がもともと備わっているため、単にローカルストレージの延長としてフォルダ構造でファイルを入れておく状態とは情報の価値が異なってくる。ビジネスのために集めた情報ならなおさらだろう。そのEvernoteに"会社の資料庫"のような同僚と共有できるスペースがあれば……。そんな要望に応えてくれるのが「Evernote Business」だ。
Evernote Businessとは?
Evernote Businessは、Evernoteが2012年12月にリリースしたスモールビジネスやグループ向けのクラウドサービス。同僚と共有したり社内に公開できる「ビジネスノートブック」や、誰がその情報に詳しいか見つけられる「Know Who機能」、適切な権限設定などが可能な管理機能などが特徴だ。
個人のEvernoteアカウントを一戸建ての家に例えると、Evernote Businessはそこに"社宅"が増築されるようなもの。社宅部分では同僚とのファイル共有や、部署や社内の情報一元管理ができ、管理者がユーザーやアクセス権限を管理するという仕組みになっている。もちろん個人のノートブックは完全に区別されているので、同僚や管理者が中を見ることはできない。
Evernote Businessなら、これまで個人で蓄積した知識を無駄にすることなくビジネスのステージに直結できる。さらに、通常のEvernoteプレミアムアカウントで使用できるアップロード容量は1GBだが、Evernote Businessでは、個人ノートブックが2GB、ビジネスノートブックも2GBの合計4GBが利用できるようになるメリットもある。では、企業側にとってのメリットとは何か? その機能と活用法を見ていこう。
知識を"お蔵入り"にしない、蓄積して活かすクラウドサービス
Evernote Businessの大きな特徴の一つが、先に述べた「ビジネスノートブック」だ。個人のノートブックに対して企業所有となるノートブックのことで、各ユーザーが作成し他のメンバーと共有することができる。ここにメモやWebクリップからオフィス書類、PDF、画像、動画、音声などあらゆる情報を蓄積できる。例えば、会議の議事録をビジネスノートブック上で共有することによって、メール添付で個々人に送る手間を省略。さらに、ホワイトボードの画像や会議の録音、議題に関連した書類までひとつのノートに集約することが可能だ。
物理的に共有しにくい名刺や紙の書類も、スキャンして保存すれば、ペーパーレス化と共に社内・部署内で効率的に共有できるようになるうえ、画像内の文字やPDF、Office文書の中まで検索できる。これにより、必要な情報を必要なタイミングで探し出すことが可能となる。
ほかにも、会社のビジネスノートブックの基本情報や社員の連絡先など、社内で共有したい情報は「ビジネスライブラリ」上でひと目で確認できる。バージョンが混乱することなく、情報のアップデートも社内WebやWikiの編集などに比べて容易だ。業務マニュアルや共通認識にしたいニュース、各種伝達事項などにも役立てられる。
Evernote Business上では情報の保存・共有が効率化するだけではない。ノートの作成・閲覧・検索などを行う際に、関連した情報を含むノートを自動的に表示する「関連ノート」機能により、過去に保存された情報から役立つ内容を引き出したり、同僚の持つ情報や知恵に気付くことができるようになるのだ。全員の情報が集まり、繋がり合うことが新たな価値を生む可能性がある。
そしてEvernoteのマルチデバイス対応はビジネスアカウントでも全く同じ。使うデバイスが異なっても、全員がEvernote Businessを共通のプラットホームにすることができる。Evernoteプレミアムの全機能が利用できるので、オフラインノート編集や暗号化、Android端末ではMS Officeドキュメントの編集や保存も可能だ。
システムの心配をせず、余裕の容量を定額で活用
Evernote Businessを導入する企業は世界で1万2000社を超えている。国内でも中堅からスタートアップまで、様々な企業が業務効率や情報活用力の向上に活用している。
様々な業種の導入事例がEvernote Businessのサイトで紹介されている |
中小規模のビジネスにとって、専用のグループウェアや自前のサーバを運用するのは負担が重いケースが多いだろう。しかしEvernote Businessは初期費用無料で、1ユーザー月額1100円(年間契約の場合は年額1万3200円)。
初期費用を抑えながら、システム担当者の手をかけずに1ユーザーあたり4GBの月間転送量が無料、累積の保存容量は無制限となっているため、企業規模に限らずこのコストパフォーマンスは大きな魅力といえるだろう。情報共有は大事だが、その管理運用に人手やコストを割くのが難しい企業や、部門単位での導入にもお勧めできるソリューションだ。
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