東北大学電気通信研究所、日立製作所、日立ソリューションズ東日本は4月24日、インターネットなどの広域網が途絶し被災地からクラウドストレージが利用できないような大災害時でも、被災地内でデータを保護し、情報サービスを継続して提供できるストレージシステム技術を開発したと発表した。
同研究は、文部科学省の委託研究「高機能高可用性情報ストレージ基盤技術の開発」プロジェクト(プロジェクトリーダー:東北大学電気通信研究所教授 村岡裕明氏)にて実施されたもの。
今回、新たに開発したデータ複製技術「リスクアウェア複製」により、大災害時にも情報を安全に保存して高いデータ可用性を実現できるストレージシステム技術が開発された。
「リスクアウェア複製」は、国や県などの限定した範囲内で地理的に分散した複数のストレージ装置から成る地域分散型のストレージシステムにおいて、拠点間の距離や海岸からの距離の近さから危険度の推定を行い、より被災する可能性の低い拠点にバックアップデータを複製する技術。
今回、1,000台のストレージ装置から構成された地域分散型ストレージシステムにおいて、直下型の大地震によって半分の500台が損壊することを条件としたシミュレーションで検証したところ、「リスクアウェア複製」を採用したストレージシステムは、無作為に複製を行うストレージシステムに比べ15.8ポイント高い90.8%の可用性を得られることが確認された。
従来手法では、データを複製するストレージ装置の組み合わせの決定に時間を要していたが、過剰に安全もしくは不安全な複製先を排除して複製先を決定することで、決定時間を約2,600秒から約2.5秒に短縮した。
今後は、ストレージ装置を仙台市内の東北大の各キャンパスに配置し、運用検証をすることで、より実用的な環境下での機能開発と効果検証を目指す。
開発技術を搭載した試作のストレージシステム |