住友電気工業は3月12日、メガソーラーで使われる600Vから1kV以上の直流高電圧電力ケーブルを、そのまま通信媒体として活用する電力線通信(PLC:Power Line Communication)技術を用いた、メガソーラー監視システムの実用化に成功したと発表した。

近年、メガソーラーの建設が進む中、大量に導入されるソーラーパネルの初期の設置不良、長期劣化や故障が発生すると発電電力が低下し、売電量が低減してしまう。そのため、パネルの発電量を正確にリアルタイム監視ができ、かつ装置の取り付けが手軽にできる安価な監視システムが求められている。

PLC端末装置の既設接続箱内への設置状況

同社は、通常のメガソーラーで使われる600Vから1kV以上の直流高電圧電力ケーブルをそのまま通信媒体として活用するとともに、メガソーラー特有の大容量パワーコンディショナー(パワコン)が発生する大きなノイズ環境でも問題なく正確に情報伝達できる独自方式の電力線通信(10kHz~450kHzの周波数帯を利用)技術を開発、それを活用したメガソーラー監視システムの実用化に成功した。なお、システムの実証にあたってはユアテックの協力を得ている。

監視システムは、メガソーラーの構成単位である14~18枚直列の発電パネル群(以下、ストリング)ごとに発電電力をリアルタイムに計測し、電力ケーブルそのものを通信媒体として、その情報をモニター装置(通常はパソコン)に転送、専用ソフトによって発電異常の有無を判断する。

また、既設接続箱内部に設置される電流センサと、当該センサ情報を電力ケーブルに重畳させて情報伝達するPLC子機および子機からの情報を集約する親機で構成され、専用の通信ケーブルあるいは無線通信設備等は一切不要。1台の子機は、最大16ストリングまで発電情報を集めることができ、親機は、メガソーラーの発電規模に応じて必要な数の子機を連係することができる。

監視システムの構成例

住友電気工業では、このシステムを2014年7月から販売を開始する予定。