IDC Japanは12月12日、国内インクジェットプリンターおよびMFP市場、国内レーザープリンター市場、国内レーザーMFP市場に関する2013年第3四半期(7~9月期)の実績を発表した。
インクジェット製品の総出荷台数は、前年同期比0.9%減の122万台。国内レーザープリンター全体の出荷台数は、前年同期比1.9%増の21万9000台となり、カラーレーザープリンターの出荷台数は前年同期比5.8%減の6万7000台となった。
プリンター機能に加えて複写機能、スキャナー機能など、コンピューターとの連携機能を備えたレーザーMFP全体の出荷台数は、前年同期比1.4%増の17万6000台であった。インクジェット製品の総出荷台数に占めるインクジェットMFPの比率は、前年同期比0.4ポイント増加し88.4%。
総出荷台数は僅かな減少だったが、ユーザーへの実売は低調。出荷台数と実売の差についてIDCは「ベンダーが8月末から9月にかけて発表した新製品の在庫用出荷が増加したことが理由」としている。
インクジェット製品の出荷は、第1四半期(1~3月期)が前年同期比で18.5%減、第2四半期(4~6月期)が同11.0%減と大幅な減少だったが、今四半期は0.9%の微減にとどまった。一方、実売は「量販店の販売状況が低調で前年同期を大きく下回った」とIDCでは分析している。
第1四半期、第2四半期は市場在庫を解消するためにベンダーが出荷を絞ったため、今四半期は在庫がほぼ適正な状態からスタートした。しかし、9月末には新製品の10月からの出荷に備えて市場在庫が増加したことが出荷台数と実売の差になっている。
実売が低調となったのは、2009年末から増加が始まった低価格のインクジェットMFP(インクジェットプリンターとコピーやスキャナを一体化した製品)が必要なユーザーには行き渡ったことが一つの要因とみられる。
また、無線LANを標準に搭載し、タブレット端末やスマートフォンからの直接プリントやメール/クラウドと連携したプリント機能に対応し、消費者の購買意欲をそそった製品の需要が一巡したことも大きな要因という。
2013年も、8月末から9月末にかけて主要ベンダーからのインクジェット新製品が発売された。無線LANは当たり前に搭載される機能となり、スマートフォンやタブレット端末からの直接プリントも多くの製品に搭載されている。
ベンダー各社は、他社との差別化を図るために、機器の小型化や製品本体のカラーバリエーション、操作性、使い勝手の向上を訴求ポイントとしている。しかし、成熟した家庭用インクジェット機器市場において目立った新しい機能を持つ製品が無く、需要を掘り起こすのは難しくなっているとIDCでは分析している。
国内レーザープリンターの出荷台数は、2012年第2四半期(4~6月期)に前年同期比1.6%増と小幅ながら増加を記録したあと、前年同期比減が続いていた。しかしながら今四半期は、前年同期と比較して1.9%増と、5四半期ぶりの増加となっている。
カラーレーザープリンターは、2012年第4四半期(10~12月期)から減少を続けている。今四半期は前年同期にあった大型案件と同等の大型案件がなかったことで、前年同期比5.8%減となった。
しかしながら、モノクロレーザープリンターは前年同期比で5.8%増と、2011年第3四半期以来、8四半期ぶりに前年同期比で増加する結果となった。IDCによると、前年同期と比較して、数千台規模の大型案件の出荷が複数あったことが影響しているという。
レーザーMFPは、2011年第2四半期(4~6月期)以降、対前年同期で常に増加を継続している。今期、2013年第3四半期は、緩やかにはなっているものの対前年同期比増が続いている。前期まであったシャープの大手コンビニエンスストア・チェーンにおけるA3カラーレーザーMFPの置き換えはほぼ終了しており、その影響がなくなったために増加率が低くなっているものと、IDCでは考えている。
カラーレーザーMFPは今四半期、前年同期比8.9%増と高い伸びを示し、レーザーMFP全体の出荷台数増の原動力となった。カラーレーザーMFPとは対照的に、モノクロレーザーMFPは前年同期比13.6%減となった。モノクロレーザーMFPの大きな減少があっても、今四半期のレーザーMFP全体が前年同期比で増加した背景には、顧客を取り巻く国内の景況が安定していたこともあるとIDCは見ている。