Xen - hypervisor, the powerful open source industry standard for virtualization.

Xenプロジェクトは12月9日(米国時間)、Mirage OSの初のメジャーリリースバージョンとなる「Mirage OS 1.0」を公開した。「Mirage OS」はXenハイパーバイザ上でアプリケーションをダイレクトに実行するための開発環境および実行環境。アナウンスの説明では「クラウドオペレーティングシステム」という言葉が使われている。しかし、既存の汎用オペレーティングシステムとは特徴が異なる。アプリケーションを最小限のオペレーティングシステムへコンパイルするシステムといった側面を持っている。

Xenの利用では現在のところXenの上にXenに対応したオペレーティングシステムをデプロイし、その上にWebアプリケーションやWebサービスを提供するソフトウェアを実行するといった形態が取られることが多い。この構成はさまざまなレイヤで似たような保護機能が実行されており、処理の無駄になっている。クラウドオペレーティングシステムはこうした無駄な機能を削除し、ハイパーバイザの上で必要最小限の機能のみを提供し、場合によってはアプリケーションの実行環境を統合したオペレーティングシステムと提供しよいうという取り組みをいう。いくつの取り組みがあるが、たとえば2013年9月に発表があったOSvなどを例としてあげることができる。

「Mirage OS」はこの考え方をさらに推し進め、アプリケーションごとに個別にクラウドオペレーティングシステムへコンパイルするといったアプローチを採用している。「Mirage OS」向けに用意されたライブラリおよびOCamlを用いて開発されたアプリケーションはXenの上でダイレクトに実行できるソフトウェア(仮想マシン、クラウドオペレーティングシステム)へコンパイルされる。TCP/IP、DNS、SSH、OpenFlow、HTTP、XMPPなどのプロトコルに対応している。

「Mirage OS」として開発されたDNSサーバの例が紹介されており、「Mirage OS」版のDNSサーバはコンパイル後のバイナリ(仮想マシン、クラウドコンピューティング)が200KBしかないのに対して、BINDを従来通り通常のオペレーティングシステムの上に配置するとオペレーティングシステム含めて450MBを超えることが紹介されている。動作速度も「Mirage OS」版のDNSの方が高速だという。「Mirage OS」としてコンパイルされたソフトウェアはAmazon EC2やRackspace CloudなどXenベースの仮想化サービスで利用できると説明がある。