日本IBMは11月12日、米IBMがケニアのUhuru Kenyatta(ウフル・ケニヤッタ)大統領の臨席のもと、アフリカ初の民間の技術研究施設の開所式をケニアのナイロビで行ったと発表した。
同研究所はIBMがグローバルに展開する12番目の基礎研究所で、ケニアICT Authority(情報通信技術庁)の支援を受け、ナイロビのCatholic University of Eastern Africa(東アフリカ・カトリック大学)構内に開設。広さ2,000平方メートルの施設にはアフリカ屈指の強力なクラウド・コンピューティング・ハブが設置され、IBMの研究員たちはこの計算資源を用いてデータを分析し、洞察を引き出し、エネルギー、水資源、交通、農業、医療、ファイナンシャル・インクルージョン、治安など、アフリカが抱える重要課題に対応するための応用研究および探索的研究を行う。
アフリカにおけるイノベーションのエコシステムに深く組み込まれたかたちで、アフリカ全土、そして世界中の企業、研究機関、大学とパートナーシップを構築し、すでにIBMアフリカ研究所では、いくつかの重要プロジェクトが進行している。
IBMはケニアのインターネット・サービス・プロバイダー、Access Kenyaと協力し、ナイロビにおいて車で通勤する人々が、交通渋滞の予測に基づいた市内運転ルートに対する助言を携帯電話で受信するパイロット・ソリューションを開発した。
ナイロビ市内各所に設置されたCCTVカメラから取り込まれた映像データを解釈する特別なアルゴリズムとディープ・アナリティクスを活用することにより、通勤する市民は携帯電話を用いて道路の最新状況と代替ルートの助言を受信する。
「Twende Twende」(スワヒリ語で「レッツ・ゴー」の意)と呼ばれるシステムは、従来型の携帯ではSMSベースのクエリ・システムを介して稼働。また、スマートフォンでは、ユーザーは専用アプリを使って、推薦されたルートや渋滞状況を示す市内地図を閲覧。IBMの研究員は現在ソリューションの機能拡張に取り組んでおり、今後は治安や天候、道路工事などの情報をし、現地の事情に特化して、人間の移動に必要な情報を取得する。
またデジタル広告では、現地企業FlashcastおよびKuza Biasharaと協力し、マイクロ起業家が通勤客をターゲットにロケーション・ベースの広告を実現する「Mattangazo」ソリューションを開発。このソリューションは、バスやmatatu(マタトゥ)と呼ばれるミニバスに3G通信機能を備えたGPS対応ディスプレイ・ユニットを設置し、レストランや美容室、コンピューター修理店など、地元の小規模企業のシンプルな広告を表示するという。