博報堂は7月22日、「人を動かすマーケティング」を研究し、実践する「行動デザイン研究所」の設立を発表した。

同研究所では、国内外の膨大なキャンペーン事例から独自の分析フレームで行動デザインのエッセンスを抽出し、データ化するという。

これまで、マーケティング指標は「商品情報や広告にどれだけ接触したか」という「認知指標」が成果指標として主に取り扱われてきた。

しかし、近年は海外の広告賞で「ACTIVATION」が評価のキーワードになるなど、「生活者の来店行動や購買行動、推奨行動」といった「行動指標」に軸が移りつつあるという。

行動デザイン研究所では、行動指標を分析するために、消費行動の新たなプロセスを提案する。

生活者の消費行動プロセス。左はこれまでのプロセスで、右は新たなプロセスモデル

以前の「認知・理解」を起点としたモデルは、情報量が多い現代では「購買・行動」に行き着くまでに多額のマーケティング投資が必要になるという。

一方で、同研究所は「行動の反復が好意・関心をつくり出す」という認知心理学の知見を活用。「共感(やってみたい!)の強さ」、「まず、行動を促す」ことを起点とした、投資対効果の高いプランニングやマーケティングを目指すとしている。

また、博報堂の研究組織として「何故、人が動くのか?」というテーマのもとに、行動が生まれる理由の体系化、モデル化も行う。下図の「行動デザインのツボ」はその一例だという。

行動デザインのツボ

同研究所では、社会心理学や行動経済学の最新の研究成果も踏まえながら、生活者の行動モデルの研究を進めるとしている。在籍メンバーは9名で、リーダーにはプロモーションビジネスユニットの國田 圭作氏が就任する。