「マイナビニュース」に出てくるマイナビのマスコットキャラクター「マイナビベア」(以下ベア)。実はベアとの会話が楽しむことができるのをご存じだろうか? 

「マイナビニュース」のマスコットキャラクター「ベア」。彼の軽妙なトークの裏側で動いているのがUEテックのAI会話エンジン『CAIWA』だ。

ベアとの会話を可能にしたのが、UEテックのAI会話エンジン『CAIWA』である。

UEテックでは、『CAIWA Service』という顧客対応ソリューションをSaaS型で展開している。マイナビニュースでは、このCAIWA Serviceの一つ、『Viii』を導入した。『Viii』は、問い合わせ対応、商品案内、お客様の声の吸い上げを行う対話型の自動応答コンシェルジュ(バーチャルエージェント)としてWEBサイトやスマートフォンサイトで利用されている。この『Viii』に搭載されている会話を実現するためのエンジンが『CAIWA』である。

なぜ『CAIWA Service』はマイナビニュースに導入されたのか?

そもそもマイナビニュースが『CAIWA Service』の導入を検討したのは、大規模なサイト改修のタイミングだった。ニュースサイトとしての独自性を打ち出すための施策のひとつとして、2011年に採用された。実はベア自身も、20以上あったマスコット案の中から会話する機能を前提としたイメージにピッタリくるものとして選ばれたという経緯がある。

「マイナビニュース」を運営する株式会社マイナビ メディアコミュニケーション事業本部メディア戦略部 部長の三森一将氏は、『CAIWA Service』導入の経緯を次のように語る。

株式会社マイナビ メディアコミュニケーション事業本部メディア戦略部 部長の三森一将氏

「マスコットがユーザーに対しお勧めの記事を紹介するためのシステムを導入することは決まっていたのですが、一方でそのお勧めに対して、ポジティブなもの、ネガティブなもの含め様々な反応が返ってくることも想定されました。ユーザーからの反応にひとつひとつ社員が答えていたのでは人手が足りないし、レスポンスのスピードの問題もあるし……。そんなときに出会ったのがCAIWA Serviceの『Viii』でした。『Viii』を使えば、ある程度は自動的にユーザーの反応に返事をすることができる。とはいえ、すべての読者に対して自動的に返事をしたいわけではなくて、人間的な温かみのある対応を大切にしたかった。読者を大切にしたいですからね。『Viii』が面白いなと思ったのは、自分たちが間に入って自由に運用、微調整していくところ。あたたかみのある対応をユーザーに提供できるのでは、と思ったんですね」

『Viii』に搭載されているAI会話エンジン『CAIWA』によって、ユーザーはベアとの擬似会話を楽しむことができる。これまでのところ、ベアは、会話する機能を実現したことでファン獲得に一定の成果を上げており、親近感とロイヤルティがアップしたとマイナビでは分析している。

また、導入後も効率良く運用できているという。マイナビニュース総編集長の糸井一臣氏は、次のように説明する。

マイナビニュース総編集長の糸井一臣氏

「ベアの知識作成・メンテナンス担当者がまず着手したのが、話しかけられる頻度が高い割にうまく返答できていないケースを洗い出すこと。ユーザーがベアに対して話しかけた文章のログを、管理画面でランキング形式で見ることができるのですが、「ヒット」(ベアがうまく返答できた文章)と「無ヒット」(うまく返答できなかった文章)を入力文章別で表示できるんですね。この仕様が大変絶妙でして、頻度が高い「無ヒット」だけを効率よく抽出し、より自然で精度の高い返答をベアにさせることができるようになりました」

顧客管理・マーケティングツールとしての活用も

 「マイナビニュース」では『Viii』を他ニュースサイトとの差別化のために採用し、現状はユーザーにベアとの会話を楽しませるために活用しているが、『Viii』は本来、顧客管理やマーケティングにも活かすことができるサービス。『CAIWA ROBOT MANAGER』というオンラインツールが用意されており専門知識がなくてもユーザーインターフェースの制作や知識の設定・メンテナンスが簡単にできる。吸い上げたお客様の声を管理することができるのも特徴だ。マイナビのほか、多くの大手企業で採用実績がある。

『CAIWA ROBOT MANAGER』実際の画面※クリックで拡大

『Viii』を導入すると、ウェブのユーザビリティ向上と問い合わせ対応にかかるコスト削減の効果が見込める。電話やメール、来店とは異なり、ウェブサイト上に置いたキャラクターは気軽に話しかけやすいことから、不動産や保険、金融機関といった高額な商材を扱う企業HPの一次受付として最適なほか、ECサイトを持っている個人商店の窓口としての活用も考えられる。さらに発展させれば、質問だけではなく感想、悩み、意見を吸い上げることもできる。アンケートやモニター調査とは違ったデータの収集に役立てることもできるというわけだ。

マイナビニュースでは、今後の『Viii』の活用シーン拡大を視野に入れている。

「今後想定される活用法としては、サイト上で記事内容についての質問回答、アンケート調査への活用、読者の生の声を吸い上げることでクライアントにマーケティングデータとして提供、スマートフォン対応を念頭に置いた音声認識への対応、といったものでしょうか。単にユーザーと話をさせるだけでなく、ユーザビリティの向上やログを活用したマーケティングに利用していきたいですね」(糸井氏)

またUEテックでは現在、FAQといったウェブサイト上での問い合わせ対応や、ログを解析してコンテンツ改善に役立てるツールとして『Viii』の活用を積極的に提案中。新たな活用法を提案するパートナー企業の拡大も目指しており、今後ますます活用シーンが広がっていきそうだ。