IDC Japanは7月11日、国内の健康/介護福祉関連IT支出額予測を発表した。

国内健康/介護福祉関連IT市場 支出額予測(2011年から2017年) 資料:IDC Japan

これによると、健康関連サービス事業者および介護福祉サービス事業者を含む国内健康/介護福祉関連IT市場支出額規模(ハードウェア、ソフトウェアおよびITサービスを含)は、2012年のIT支出額が572億円、2013年が579億円(前年比成長率1.3%)で、2012年から2017年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.6%、2017年には619億円へ拡大すると予測している。

健康関連サービス事業者は、短期的には「健康日本21(第2次)」や「特定健康診査制度」第2期(2013年4月から2018年3月)の開始に伴うシステムの改修/更新需要が見込まれ、中長期的には、医療と介護福祉の連携に伴い、予防対策としての健康増進活動が拡大して、健康医療関連データの2次利用によるエビデンスの確立など、IT支出を促進するとみている。

ベンダーの中には、健康診断業務支援を目的とした情報システムの開発/構築/運用にとどまらず、モバイル端末やクラウドサービスをプラットフォームとして活用しながら、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスの提供への拡張を図るケースも見られる。

他方、介護福祉サービス事業者についてみると、短期的には、2012年の介護報酬改定に伴うシステム改修/更新需要の反動で、2013年はマイナス成長となるが、改正介護保険法に基づく認知症対策として、モバイル機器やセンサーネットワーク、GPS機能などを利用した高齢者向け地域見守りシステム導入が進んでいる。

中長期的には、2015年の介護報酬改定に加えて、「地域包括ケアシステム」を介した介護/医療連携、介護福祉機器のIT化/ネットワーク化が支出促進要因となるとみている。

改正介護保険法や障害者総合支援法を受けて、高齢者見守りシステム、介護用ロボットなど、現場業務を支援する機器/システムの開発/導入が本格化。予防的な視点に立った介護福祉支援ソリューションは、人口高齢化に直面する世界各国/地域の社会保障負担軽減に寄与するものであり、政府の新IT戦略や成長戦略においても、国際展開戦略の中核に位置付けられる。

IDC Japanでは「介護福祉機器からITビジネスへの参入を図るベンダーは、オープン性、標準化/汎用化など、情報通信技術ならではの利点を生かしながら、世界市場を念頭に置いた製品/サービスの標準化/商用化を推進すべきである」と述べている。