カスペルスキーは6月6日、法人向け製品プラットフォーム「Kaspersky Endpoint Security for Business(KESB)」の提供開始を発表した。これまで提供されていた「Kaspersky Business Space Security(KBSS)」、「Kaspersky Work Space Security(KWSS)」を統合し、ラインナップを一新した。
KESBは4つのセグメントに分けて提供される。基本機能をまとめた「Core」、Coreの機能にアプリのホワイトリストやデバイス、外部インタフェース管理機能を加えた「Select Workstation」、Select Workstationにファイルサーバーの保護機能を追加した「Select」が7月17日より販売開始となる。ダウンロード版の提供は6月6日から。
インシデントなどのレポートや、サードパーティー製ソフトウェアのパッチの自動アップデートが一括管理が可能となる「Advanced」も今秋以降に提供される予定となっており、詳細は後日案内されるという。
価格は、10-14ライセンス購入の場合で、KESB Coreが1ライセンスあたり3240円、KESB Select Workstationが同6480円、KESB Selectが同1万430円となっている。
また、「Kaspersky Security for Virtualization 2.0」も同日発表されている。VMwareのvSphereにより構築された仮想化環境に最適化されており、クラウドサービスベンダーやデータセンター向けに提供予定。
同製品は、仮想マシンごとにエンドポイントツールをインストールする必要が無いため、リソースの消費を最小限に抑えられ、「アップデートストーム」などの性能低下が起こらないという。こちらも7月17日から提供開始となるが、すでに試用版が6月6日より提供開始されている(利用するには同社への問い合わせが必要)。価格は1CPUあたり16万円~。
発表会では、カスペルスキー 代表取締役社長 川合 林太郎氏が登場。同氏は、自社セキュリティソリューションの発表の場でありながら、「このソリューションだけでは企業情報は守れない」と警鐘を鳴らす。氏は、こうした発言の背景としては、ソーシャルエンジニアリングによる情報の不正取得が増加していることを挙げる。
以前は「安く物が購入できる」、「女性と出会える」といった内容のメールを送信することで、URLを踏ませてマルウェアに感染させる手口が多かったが、現在はFacebookなどで知り合いのフリをする例が増えているという。
「私にも知り合いを装った攻撃者がFacebookで近づいてきた」という川合氏は、「知り合いだと思ってユーザーのセキュリティ意識が低くなっているところに攻撃者はつけ込む」といい、企業がプライバシーポリシーを制定するだけではなく、ユーザーそれぞれが意識を高めることの重要性を説いた。
続いて、同社 マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長 松岡 正人氏が登場し、Kaspersky Endpoint Security for Business(KESB)の詳細について語った。中小企業は標的型攻撃に対し「うちは関係ない」と思いがちだが、実際は攻撃者のターゲットになりやすいポジションだという。セキュリティ対策が甘い中小企業に侵入し、取引先である大企業の情報を入手する「踏み台」にされるケースが多いのだという。
KESBは、大規模なソリューションにも対応しているが、中小企業でも運用が難しくないよう、無駄な機能をつけていない。それに加え、同じコードベースの統合セキュリティプラットフォームであり、単一の管理コンソールで一元管理が可能なため、シンプルに各環境の監視が行える。クライアント環境は、Windows(Windows 8、Windows Server 2012含む)/Mac OS X/Linuxはもちろん、モバイルデバイスにおいてもAndroid向けはマルウェア対策が施されている。
アンチウイルス機能では「ファイルアンチウイルス」「メールアンチウイルス」「ウェブアンチウイルス」「メッセンジャーアンチウイルス」と各種ネット接続に対して対策を施している。ウェブアンチウイルスでは、URLのブラックリストによりアクセス遮断を行う。未知のURLが入力された際もコンテンツスキャンを行い、悪意のあるコードが存在する場合もブロックできるという。また、松岡氏は、パケットが送られてくる状態も監視していることを説明し、三重の対策を取ることでエンドポイントの安全を守ると強調した。