5月16日から2日間、東京国際フォーラムで開催された「富士通フォーラム 2013」。会場には富士通の最先端のテクノロジーをはじめ、ソーシャル/ビジネスをイノベーションさせるプロダクトや取り組みが多数展示された。

その中で富士通の「ICTイノベーション」をテーマに掲げたブースでは、既存ICT基盤の最適化を実現する最新プラットフォームが、デモを交えながら紹介された。ここでは2012年に販売開始、2013年1月にバージョンアップされている仮想化環境向けストレージ「ETERNUS VX700 series」を中心に、ICT基盤を最適化する富士通のプラットフォームの数々を紹介しよう。

富士通フォーラム2013の様子。展示ブースには多くの人が詰めかけた

富士通フォーラム 2013 レポート

「富士通フォーラム 2013」のレポートを以下にも掲載しております。併せてご覧ください。

結線してから4ステップで設定が完了、70~80%の工数削減を実現

ICTインフラのモダナイゼーションを実現する技術として注目されているのが、仮想化である。しかし、仮想化によるシステム統合で、ハードウェア/ソフトウェアのコストは削減できたものの、運用管理のタスク増加や、作業工程の複雑化といった新たな課題に直面することもしばしばだ。その結果、全体的なコスト削減は実現せず、管理者の作業負荷ばかりが増加してしまうケースも多い。

こうした課題を解決するのが、仮想化環境向けストレージ「ETERNUS VX700 series」である。

「ETERNUS VX700 series」。写真は10Gbit/s iSCSIインタフェースをサポートする「ETERNUS VX740」

富士通プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部の堀越恵太氏

ETERNUS VX700 seriesは、運用/管理で必要な機能をすべて標準実装した、スケールアウト型のストレージである。設計/導入にかかる工数を大幅に削減し、ストレージに関する知識がなくても操作できるのが特徴だ。デモンストレーションを行った富士通プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部の堀越恵太氏は、「ETERNUS VX700 seriesの優位性は、なんと言っても直感的な管理GUI。例えばノードの追加もPCに外付けハードディスクを増設する感覚で実行できる」と語る。

例えばディスクの設計をする場合、従来型のストレージは、RAIDレベルやディスク本数/種別を選択し、容量を計算したうえでボリューム設計する必要があった。しかしETERNUS VX700 seriesはボリュームタイプを選択するだけでよい。それもGUIでボタンをクリックするだけだ。

さらに、スケールアウト型ストレージETERNUS VX700 seriesは、システムを停止することなく、プロセッサユニット(データ制御部)とストレージユニット(データ保存部)で構成されるノードを簡単に追加できる。これにより性能や容量アップは必要に応じて段階的投資が可能になる。

そのスケールアウトの設定はわずか2ステップで完了する。まず、増設したノードを登録する。増設したノードは自動認識され、登録後の空き容量に反映される。下の写真は導入設定後の管理画面である。

左 : Step1「ストレージ(ノード)登録」(1)
物理使用量78%と容量の警告しきい値75%を超えたため画面左上の状態表示は「Warning(黄色)」になっている。容量追加のため「ノード増設」を行うと、ハードウェアの拡張ノードが1になっていることがわかる(右側)。次に画面上のバーにある「スケールアウト」をクリックすると拡張ノードが自動認識される。

右 : Step1「ストレージ(ノード)登録」(2)
スケールアウトの画面では物理空き容量が増えているのがわかる(右側)。下側の「登録して次へ」をクリックする。

Step2「iSCSIポートの設定」
最後に追加したノードのiSCSIポートを設定する。IPアドレスを設定して終了をクリックすれば完了だ。拡張したストレージ容量はすぐに使用できる。

堀越氏は、「仮想化技術を活用したサーバ統合では、従来のようにサーバの性能チューニングができないという課題がある。その中で簡単に容量/パフォーマンスを拡張できるのがETERNUS VX700 seriesだ。必要に応じて段階的に拡張が可能なので、最初から大容量のストレージ製品を1台導入するよりも初期導入コストを抑えられる。データセンターなど、(サーバ容量の)見通しが立てづらい分野には最適だ。何より効率のよい投資ができる」と、その優位性を強調する。

また、仮想環境との高い親和性も特徴だ。vCenterサーバに無償のプラグイン・モジュール「vCenter Plug-in」をインストールするだけで、vSphere管理者はvCenter上からETERNUS VX700 seriesのモニタリングやプロビジョニング、バックアップ/リストアといった操作ができる※1

※1 vCenterから「ETERNUS VX700 series」を操作する様子はこちらの動画で確認できる。プロビジョニングやバックアップ/リストア、稼働状況のモニタリングをvCenter上で行う手順が具体的に紹介されているので、ご覧になるとよいだろう。

vCenterの管理画面でETERNUS VX700 seriesのストレージ容量を確認できる

万が一の障害でもビジネスを止めない
クラスタ構成とノード間ミラーリング

サーバ仮想化環境で留意すべきは障害対策である。物理サーバの場合、障害によって影響を受ける範囲は限定的であった。しかし統合されたシステムでは、ストレージ障害が発生すると多くのシステムに影響を及ぼす。そのためには、万が一障害が発生しても、ビジネスを止めないシステムの構築が重要だ。

その役割を担うのが、ノード間のミラーリング機能である。これは基本ノードと拡張ノードを使用し、ノード間でデータを重複して保存するものだ。万が一、ストレージユニット障害が発生しても、どちらかのノードはサーバにアクセスできる仕様になっている。ストレージユニットの保守が終わったら、自動的にデータの冗長性は回復される。

もちろん、コンポーネントもクラスタリング構成になっている。基本ノード内でもプロセッサ・ユニットとストレージスイッチが冗長化されており、プロセッサ・ユニットもクラスタ化されている。これにより、万が一故障があれば、該当ユニットを切り離せばよく、全体のシステムを停止させる必要がない。

また災害対策としてETERNUS VX700 seriesは、遠隔地レプリケーション機能も備える(2013年10月提供予定)。これはETERNUS VX700 series上で稼働しているVMwareやサーバのデータを一元的に遠隔地に転送するものだ。ディザスタリカバリーの観点からもETERNUS VX700 seriesは、すぐれたストレージと言えるだろう。