米Nutanixは6月5日、日本法人「ニュータニックス」を設立したこと発表した。

Nutanix セールス担当バイスプレジデントのマット・ヤング氏

Nutanixは、Google File SystemやOracle Exadataの開発メンバーらによって2009年に設立された企業。「Google File Systemを設計したメンバーのうち3人がNutanixに参加して」(Nutanix セールス担当バイスプレジデント マット・ヤング氏)おり、Google File Systemと同様、x86サーバ向けの廉価なハードウェアを採用したアプライアンスにより、スケールアウト型のシステム基盤を安価に構築できるアーキテクチャになっている。

Nutanixは、「2011年後半に最初のバージョンをリリースして以来、年間8000万ドルペースで成長中」(ヤング氏)。ベンチャーキャピタル数社から3回にわたり合計7160万ドルの出資を受けるなど、市場で大きな注目を浴びている。

サーバとストレージを統合したアプライアンス! 拡張は筐体を追加するだけ

ニュータニックス シニアSEの川端真氏

Nutanixが提供する「Virtual Computing Platform」は、仮想化環境や独自の分散ファイルシステムを組み込んだモジュラー型アプライアンスで、ネットワークにつなぐだけで導入/拡張できる点を大きな特徴とする。2Uの筐体(ブロックという単位で表現される)に4つのコンピューティングノードを組み込める構成で、最新機種NX-3050の場合、1ノードあたり400GBのSATA SSDを2本、1TBのHDDを4本、256GBのRAM、2.6GHzのインテルCPUを16コア搭載している。

各ノードはそれぞれ、ストレージとサーバの双方の役割をこなせる設計になっている。従来のようにサーバ群とSAN/NASの接続設定が不要なうえ、「台数に対してリニアに性能を向上できる。しかも、理論上の対応可能台数は無限」(ニュータニックス シニアSE 川端真氏)という特性があるという。

NX-3050の構成

仮想化技術を導入しており、複数台のノード/ブロックのコンピューティングリソースを単一のリソースプールとして扱うことが可能。拡張する際も、ノードを挿入したり、ブロックをつないだりするだけで面倒な作業を省略できる。データの冗長性に関しても、デフォルト設定では、データの書き込みを2台のブロックに対して行う仕組みになっており、1台に障害が起きてもすぐに復旧できる構成になっている。

また、頻繁に使用されるデータはSSD、使用頻度の少ないデータはHDDと、データに応じて記録媒体を変えることで、価格を抑えつつパフォーマンスを確保する作りになっている。この際のデータの保存先も自動的に決定されるため、運用の負荷を高めることもないという。加えて、一部のノードで書き込みが集中した際も、単純に同一ノード内のSSD/HDDに書き込むのではなく、各ノードのSSD/HDDのデータ量がなるべく均等になるよう制御される。

「コスト削減効果は億単位」

ニュータニックス マネージングディレクターの岡田卓也氏

発表会では、日本法人のカントリーマネジャーを務めるニュータニックス マネージングディレクターの岡田卓也氏が、同製品のコストパフォーマンスの高さを強調した。

岡田氏はまず、「一般的な1ラック(42U)の垂直統合型システムと同等の環境が5U(2ブロック+ネットワーク機器1台)で構築できる」と語り、設置スペースを大幅に低減できることを強調。消費電力も6800Wが2000Wにまで低減されるうえ、集積率に関しても、VDI(仮想デスクトップ)で利用する場合、垂直統合型システムで2Uあたり5ユーザーだったものが、Nutanixでは2Uあたり320ユーザーまで高められると説明した。

また、上記のとおり、廉価なハードウェアを使用しているため、高性能のサーバ/ストレージと比べると低価格に抑えられている。加えて、拡張時や障害時の対応も、追加したり、取り替えたりするだけなので、スモールスタートが可能なうえ、運用の手間も省けるというメリットもある。

岡田氏は、こうした要素を挙げたうえで、2万ユーザー分のVDI環境を5年間運用した場合、8億6300万円超のコスト削減を実現できるという試算を紹介。さらに、高い拡張性を備えるため、アクセス数の変動が激しいオンラインゲームにおいては特に親和性が高いと説明し、不人気ゲームのサーバを1000台集約できれば5年間で16億円以上の削減が可能になるというシミュレーション結果も提示した。

不人気ゲームのサーバ1000台を集約したときのシミュレーション結果

なお、国内での販売は代理店を通じて行われる。現在の代理店は、日商エレクトロニクス、ネットワークバリューコンポネンツ、マクニカネットワークスの3社。当面は、データセンター事業者や、プライベートクラウドを運用する大手企業、VDIを導入する組織などを中心に販売を展開していく方針。