日本電気(以下、NEC)は12月5日、同社によると世界で初めて大量の商品を同時に識別し、種類、位置、個数などを高速・高精度に把握できるセンシング技術を開発した。
本技術を、コンビニやスーパーなどの流通業界で活用することにより、在庫管理の徹底や精緻な需要予測などDCM(Demand Chain Management)のさらなる高度化を実現し、地域・店舗に応じたきめ細やかな店舗運営を支援する。
今回開発した技術は、「100個以上の大量の商品を一度に識別する画像認識技術」と、「見えにくい場所の商品の有無を検知するセンシング技術」を組み合わせたもの。これらにより、商品棚に陳列されている全ての商品の種類、位置、個数など商品管理に必要な情報を瞬時に把握することが可能となる。
100個以上の大量の商品を一度に識別できる画像認識技術は、画像から抽出した多数の特徴点データの位置に基づいて、特徴点を高速・高精度に分類し、どの特徴点の集合がどの商品であるかを識別する技術。これにより、商品を識別するバーコードやICタグを利用せずに、画像内に映った全ての商品を同時に識別することを実現。本技術を、ペットボトル、缶の飲料に適用し評価した結果、同時識別可能な商品数を従来技術比で30倍以上改善し、世界で初めて、100個以上の商品を同時に識別できることを確認した。
見えにくい場所の商品の個数を正確に検知するセンシング技術は、弱い電波を出す特殊なシートを開発し、商品を置く棚に設置。シート上に置かれた商品が電波を遮ることを利用して、棚の奥など、見えにくい場所にある商品の個数を正確に検知する。これにより、数百個の商品の有無や、購買者が手に取った/戻したという情報を約1秒毎に検出するセンシングシステムを、世界で初めて実現した。
本技術により流通業者は、販売実績だけでは困難な購買者ニーズの抽出と在庫管理の徹底、商品販売施策の検証が可能になる。また、地域・店舗に応じたきめ細やかな店舗運営を実現し、従業員スキルや文化が多様な海外への展開を支援する。
NECでは今後も研究開発を進め、流通業、製造、物流、保守事業などに向けて、本技術を活用したC&Cクラウドサービスの実現を目指す。