本書『みんなのAndroidアプリ制作 App Inventorではじめの一歩からアプリ配信まで』は、Googleが開発し、現在はMITが提供しているAndroid開発環境「App Inventorの使い方」を紹介した技術書だ。日本での知名度はまだまだだが、米国では、高校生やコンピュータサイエンスを専攻としていない大学生向けの情報処理教育の教材として利用されている注目のツールである。

MIT版App Inventorに対応した初の解説本

App Inventorの解説書はすでに何冊か発行されているが、それらはすべてGoogleが運営していた時代に書かれたもので、初期設定の手順が異なる。そのため、本書はMITが提供するようになってからのApp Inventorを前提にしているため、本書の手順に従えば初期設定でつまずくようなことはない。小さなことかもしれないが、初心者にとって、書籍の通りに作業を行えば初期設定が行えることは重要だろう。

App Inventorが凝縮された一冊

本書の特徴は、プログラミング経験がない人がAndroidアプリを作れるようになるまでをサポートしている点だ。それに加えて、App Inventorで使える機能の一覧をリファレンスとして提供している。残念ながら、リファレンスは実験的に用意されている機能など、一部の機能については一部説明が省略されているが。

また、サンプルプログラムによってApp Inventorの使い方を学ぶだけでなく、独自のAndroidアプリを作る時にも役立つ作りになっており、初心者からパワーユーザーまで幅広いApp Inventorユーザーが活用できる内容となっている。

教育関係者必見 - オープンソース化により独自サーバの作成が可能に

App InventorはMITに運営が移る際にオープンソース化が行われており、本書では、App Inventor本体のビルドを行い、自前のApp Inventorサーバを作る方法も紹介している。日本の教育機関の中には学内ネットワークから自由にインターネットにアクセスすることを許可していないところがあるが、そうした場合は学内にApp Inventorのサーバを用意する以外にApp Inventorを利用するこができない。本書はそのような時に助けとなるだろう。

みんなのAndroidアプリ制作 App Inventorではじめの一歩からアプリ配信まで


発行 ソフトバンククリエイティブ
発売 2012年8月2日
著者 多田丈晃、上川伸彦
単行本 272ページ
定価 2,520円(税込)
出版社から:はじめてのAndroidアプリ作りから、Google Play(旧Androidマーケット)でのアプリ配信まで、実際に作りながら入門しませんか。MITで無料公開されているApp Inventorは、ブロックをつなげてプログラミングするので、入門用に最適。本書の豊富なサンプルには、シンプルなもぐらたたきアプリはもちろん、プリクラのように写真にラクガキできるアプリ、Twitterでつぶやくアプリや、Googleマップで帰路を探すものも。Androidケータイの機能を使いこなし、話題のWebサービスにも挑戦しましょう。