7月9日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2012年度上半期(2012年1月1日~2012年6月30日)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では5,760件/1兆9,982億9,700万円、商工リサーチの発表では6,311件/2兆76億6,700万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2012年度上期の全国企業倒産の件数は前年同期の5,846件に比べて1.5%の減少となり、3年連続で前年同期比減となった。四半期ベースでは、2012年第2四半期(2,793 件、前年同期比5.2%減)は2期ぶりに前年同期比減少となった。

2012年度上期の負債総額は、前年同期の1兆9,982億9,700万円の23.0%増加となり、3年ぶりの前年同期比増加となった。四半期ベースでは、2010年第4四半期以降5期連続の前年同期比減少を記録した後、2012年第1四半期に増加に転じていたが、第2四半期は再び減少となった。負債総額トップはエルピーダメモリの4,480億3,300万円で、負債100億円以上の大型倒産は18件(前年同期14件)と3年ぶりに前年同期に比べて増加した。

全国企業倒産件数の推移 資料:帝国データバンク

負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、7業種中3業種で前年同期を下回った。なかでも建設業(1,377件、前年同期比10.3%減)と製造業(742件、同12.6%減)は前年同期比2ケタの大幅減少となった。一方、卸売業(883件、同7.8%増)、小売業(1,093件、同5.1%増)など4業種では前年同期を上回った。

地域別では、関東(2,223件)、中部(755件)など9地域中5地域で前年同期を下回った。東北(166件)は前年同期比32.5%の大幅減で、年半期ベースでは過去10 年で最少となった一方、九州(398件)、北海道(205件)など4地域は前年同期を上回った。

同社は同期の倒産の動向として、「円高関連倒産」と「円滑化法利用後倒産」を挙げている。円高の影響を受けた倒産は2012年上半期に51件判明し、前年同期(24件)の2.1 倍に急増したが、うち、為替デリバティブの損失による倒産は16件(前年同期11件)だった。「中小企業金融円滑化法」利用後に倒産に至ったケースは、2012年上半期に145件判明し、半期ベースで過去最多となった。

商工リサーチの調査結果

2012年上半期の倒産件数は、6,523件だった前年同期に対し3.2%減と、上半期としては2005年(6,401件)に次いで戦後33番目となった。減少要因として、「中小企業金融円滑化法」や「セーフティネット保証(5号)」、「東日本大震災復興緊急保証」、「東日本大震災復興特別貸付」などの各種資金繰り支援に加えて、被災地を中心に本格化してきた震災関連の復興事業の波及が挙げられている。

2012年上半期の負債総額は、1兆6,654億2,300万円だった前年度に対し20.5%増と、上半期としては、3年ぶりに前年同期を上回ったという。その要因としては、帝国データバンクと同様、エルピーダメモリの大型倒産が挙げられている。ただし全体では、負債10億円以上の大型倒産が同15.4%減の203件(前年同期240件)で、上半期としては過去20年間で最少にとどまったのに対し、負債1億円未満の倒産が同1.0%増の4,433件(構成比70.2%)と7割を占めるなど、小規模企業を中心に推移したという。

企業倒産 上半期推移 資料:商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、4産業が前年同期を上回った。増加したのは、農・林・漁・鉱業(49件→56件)、卸売業(849件→943件)、情報通信業7.3%増(257件→276件)、運輸業5.6%増(212件→224件)。

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、5地区が前年同期を上回った。増加したのは、四国(127件→135件)、関東(2,363件→2,476件)、九州4(426件→446件)、北海道(248件→259件)、中国(243件→247件)。

主要産業倒産件数推移 資料:商工リサーチ