フリービットは5月15日、SDカードスロットとUSBポートを用いてネットワーク機能を備えていない機器を同社のクラウドサービス「ServersMan@Disk」とM2M(Machine-to-Machine)に対応させるアーキテクチャ「Plug in Cloud」を発表した。同時に、同アーキテクチャの製品化第1弾として、「Cloud@SD powerd by ServersMan」を発売開始した。

Plug in Cloudは、スマートフォン上での処理を行う「Cloud@Phone」、SDと機器での処理を行う「Cloud@SD」、クラウド上での処理を行う「Cloud@HUB」から構成され、さまざまな処理をCloud@SD上のCPU、連携するクラウド上のCPU、利用するスマートフォンのCPUを用いて分散処理が行える。

Plug in Cloudアーキテクチャの仕組み

これら3つの要素のうち、発売が開始されたのが「Cloud@SD」だ。Cloud@SDは、ServersManテクノロジーを搭載したSDメモリ/CPU/OS/プログラム領域を持っており、機器に差し込むだけで、ServersMan@Diskへの接続やCloud@SDを搭載した他の機器との相互通信を実現する。

「Cloud@SD powerd by ServersMan」本体とその仕様

Cloud@SDには、「アクセスポイント」モード、「インフラ」モード、「M2M」モードと3つのモードが用意されている。アクセスポイントモードでは、Cloud@SD自体がWi-Fiのアクセスポイントとして機能し、インフラモードでは、Cloud@SDからServersMan@Disk上にアップされたデータをスマートフォンで取得でき、M2Mモードでは、Cloud@SDを搭載した機器同士がServersMan@Diskを介して直接データをやり取りできる。

Cloud@SDの3つのモード

発表会では、各モードのデモが行われた。アクセスポイントモードについては、Cloud@SDを挿したデジタルカメラで撮影した画像をスマートフォンに読み込んで、Twitterへアップロードする様子が、インフラモードについては、Cloud@SDを差し込んだホワイトボードの文字が自動的にクラウドにアップロードされる様子が紹介された。M2Mモードについては、学校を想定し、先生がCloud@SDを搭載した機器を用いて出した計算問題に対し、生徒がCloud@SDを搭載した機器のCPUを用いて計算する様子が披露された。

デモでは、Twitterを介した複数のCloud@SD間でのコミュニケーションが披露された

フリービット 代表取締役 CEO 石田宏氏

代表取締役 CEOを務める石田宏氏は、「2020年のインターネットの世界は、ポストソーシャル化が進み、センサーネットワークによる機器のデジタル化によりユビキタスコンピューティングが進むと思われる。現在は、機器は、iCloudによってつながるAppleの機器、ネットワークにつながるApple製以外の機器、ネットワークにつながっていない機器に分けられるが、断然、非ネットワーク対応機器が多い。Plug in Cloudアーキテクチャによって、こうした非ネットワーク対応機器をインターネットにつなげ、現在からユビキタスの世界へとブリッジしていきたい。これはインターネットを知り尽くしているわれわれだからできること」と語った。

Cloud@SDはOEMでの提供となるが、グループ会社のエグゼモードはCloud@SDを自社製品に搭載した形で販売する。Cloud@SDを搭載して販売されるのは、「aigoプロジェクターCam AHD-X1」(価格:3万1,290円)、「aigo フィルムスキャナーFS-901」(価格:2万50円)、「ScanBit MFS-60」(価格:1万4,800円)の3製品で、6月1日から販売開始予定。

エグゼモードから販売されるCloud@SDを搭載した機器