東芝は12月16日、スマートコミュニティ事業に関する説明会を実施、現在の事業規模4000億円を2015年度には9000億円へと拡大する目標を示した。
スマートコミュニティ市場の規模は2015年には163兆円いなるという試算があり、案件としては約500件程度と見られている。中でも中国、欧州、北米が大きな市場と見られているが、同社 代表執行役社長の佐々木則夫氏は「例え市場がそれだけあったとしても、企業としてのリソースや事業領域などの問題もあるため、対象市場をそのうちの8兆円(163兆円の5%)と見込む」とし、その中への取り組みで現在の売り上げ規模4000億円から、2015年度には9000億円へと成長させることを目指すとする。
市場としては、9000億円の内37%が国内、海外先進国が34%、新興国が29%とするほか、商材別の比率としてはICT・クラウドソリューション12%、スマートグリッド33%、スマートファシリティ52%、スマート交通2%とする。
具体的なビジネスの手法としては、「既存のアプリケーションをどのようにまとめていくかが問題になる」としており、「"個"の快適性と持続可能な"街"の両立を目指した取り組みを行っていく」ことで、制御技術やセンシング技術、ICTなどさまざまなソリューションを有機的に結びつけた社会システム全体の効率的な運用を各自治体などのスマートシティ/コミュニティなどの運営者向けにテーラーメイドで提供していくとしている。
すでに同社ではこうした実証実験および商用プロジェクトを世界で手がけており、自社が不得意な領域などに向けたM&Aや企業間アライアンスなどを構築。収益をどのようにして確保していくかの道筋も見えてきたという。
「スマートコミュニティは過半数以上が世界でのプロジェクト。東芝1社単独ではビジネスをやりきることができない。特に(スマートコミュニティは)これまで日本企業が得意としてきた製品単体で競争力を向上させていくというものではなく、総合的な力が求められる分野であり、かつそれぞれの地域特性にあったAnalysisからSynthesisへの事業転換が求められるようになってくる」とのことで、2012年1月1日付けで、これまでクラウドで実現されるようなアプリケーションなどを個々の社内カンパニーで扱っていた体制を改め、クラウドカンパニーとして、それらを一元的に統括できるようにするほか、東芝ソリューション内にクラウドサービスの開発などを手がける部隊も用意するとした。
また、スマートコミュニティによる未来の街づくりへの取り組みとして、第1ステップが「実証事業による検証・蓄積」、第2ステップとして「最適コンソーシアム構築による推進」、そして第3ステップが「商用事業のグローバル展開」と同社では考えているとの考えを示し、「現在の段階としては第1と第2ステップの間におり、これをどうやって第3ステップに持っていくかがスマートコミュニティをビジネスとして考える上で重要になってくる」とし、発電や送電、水などのインフラといった面から、スマートメータなどの一般消費者向けの分野、そしてそれらをつなぐネットワークまで含めたソリューションをアライアンスを活用して提供していくことで現実のものにしたいとした。