日本HPは29日、Windows 7 Professionalを搭載する8.9インチ(WSVGA:1,024×600ドット)の法人向けスレートPC「HP Slate 2 Tablet PC(以下、HP Slate 2)」を2012年1月上旬より販売すると発表した。Wi-FiモデルとSIMフリーのWi-Fi+3Gモデルの2種類がラインナップされ、Wi-Fiモデルが69,300円、Wi-Fi+3Gモデルが72,450円。なお、Wi-Fi+3Gモデルの販売は2月上旬となる。
HP Slate 2は、CPUにIntel Atom Z670(1.5GHz)、メモリ2GB、ストレージとして64GBのSSDを搭載。VGA WEBカメラ(内側)/3Mピクセル WEBカメラ(外側)やSDカードスロット、USB 2.0×1を内蔵する。重量は690gで、同社によれば、Windows 7を搭載したスレートPCでは、世界最軽量(同社調べ)だという。
バッテリ駆動時間は約6.7時間で、外形寸法はW234×D150×H15mm。液晶は指のタッチ操作も可能なほか、デジタイザーを内蔵し、付属のペン操作もできる。 8.9インチを採用した理由を、パーソナルシステム事業統括 コマーシャルビジネス本部 マネージャー 村上信武氏は、「片手でのペン入力ではこれが限界。これ以上大きくなると長時間利用することが困難になる」と述べた。
また同氏は、Windowsを採用した理由として、「投資の保護」、「セキュリティ」、「ユーザービリティ」の3つを挙げ、特に既存アプリケーションの活用、長期継続性のある製品の選択、企業利用における多くの実績を重視したという。
ただ、Androidの搭載端末の可能性は肯定も否定もしなかったほか、Web OSも完全に撤退したわけではないとした。主なターゲットとして、小売店舗で利用を想定しているという。
セキュリティでは、TPMセキュリティチップを搭載し、BIOSパスワードが可能なほか、ファイルとフォルダの暗号化(EFS)やパーソナルセキュアドライブ(PSD)に対応する「Embedded Security for HP ProtectTools」を搭載し、盗難にあった際に遠隔操作でデータのロックや消去、盗難回収が行える「Computrace for HP ProtectTools」に対応する。
記者発表に同席した日本HP 取締役副社長執行役員 岡隆史氏は、PC事業の業績ついて、企業向けは好調だが、個人向けは売り上げが落ちていると説明。その要因を、「景気に対するマインド、スマートデバイスという変化に対して、品揃えを網羅できなかった」と述べた、ただ、利益は2桁成長(13%)を達成しており、「健全な財務の中で推移し、堅調いビジネスが維持できている」とした。
また、8月の撤退から一転して事業継続を発表した点については、「8月の発表は、検討を開始するというもので、実際にPC事業からの撤退を決定したわけではなかった。ではなぜ、決定していないものを発表したかといえば、撤退を検討するにあたり、いろいろな社内調査が入り、30万人いる社員がいる中では、秘密のままにしておくことは不可能で、インサイダー取引を防ぐなど透明性を担保するためだ」と説明した。 そしてPC事業を「ブランド維持するためのコアの事業である」とした。ただ、経営課題として、経営スピードと革新に対する投資を挙げ、「HPにそれがいま試されている」と述べた。