三井住友海上火災保険本社

三井住友海上火災保険は10月、自動車保険と火災保険の契約手続きをWindows 7を搭載したスレートPC上で完結できる新しいシステムを開発し、11月上旬より使用を開始すると発表した。

新システムでは、保険料の見積もり、契約内容の確認、契約時の署名など、自動車保険と火災保険の契約手続きが、すべてスレートPC上で完結、完全ペーパーレス化を実現する。

三井住友海上火災保険では、以前からモバイルツールの活用を積極的に行ってきた。約4年前から、パソコンの画面上で操作し保険契約手続きを行うで「電子計上システム」を導入している。

「この時はサインをいただくために、ペンタブレットを接続していました。紙の申込書に比べればスマートなのですが、ノートPCとペンタブレット端末の両方を持ち運ぶというのは荷物になるという声もありました」と振り返るのは、営業推進部 営業ITチーム 課長である近田伸矢氏だ。

三井住友海上火災保険 営業推進部 営業ITチーム 課長 近田伸矢氏

ペンタブレットを利用しない方法として、3年前にはタッチ液晶を搭載したタブレットPCを採用している。今回のスレートPC採用は、この流れの中でさらに小型・軽量な端末を利用してスムーズな契約を実現させるものだ。

「Windows向けのシステムを作ってきたため、スレートPCを採用するにあたり大きな開発があったわけではありません。最も苦労したのは、スレートPCで初めて利用することになった、静電タッチ液晶を利用したサイン部分です」と近田氏は語る。

新システム画面のイメージ

契約時は画面上で署名

多彩な端末の中から代理店が自由に端末を選択

保険契約の手続にどの端末を利用するかという選択は代理店自身が行っている。紙の申込書で対応している代理店もあれば、11月になってすぐにスレートPCを導入した代理店もある。

「現在、対象契約のうち、6割程度が電子計上システムを利用して手続きされています。電子計上システムを利用している代理店は1万店、3万人というところでしょうか。今回のスレートPCへの対応によって、電子化対応の代理店がさらに増えてくれればと考えています」と近田氏。

スレートPC対応にあたっては、入手できた国内外の端末8台を対象に検証が行われた。基本的にはWindows 7を搭載しているノートPCと動作は同じであるため、システムの稼働確認とともに、端末ごとの癖が出やすい手書きサイン部分のチューニングが重視された。

採用されるスレートPCの1つ

「スレートPCは静電容量式のタッチパネルで、タッチに対する反応がよいですね。指先でもゆっくりと書けば、きれいにサインすることができます。ただし、急いで書くのは難しいので、電磁誘導式の専用ペンがあるほうが、より使いやすいかもしれません」と近田氏は語る。