オンライン百科事典「Wikipedia」のイタリア版が、全コンテンツに抗議文を掲載している。現在、イタリア議会で審議されている法案により、Wikipediaのような中立的な情報が危うくなるとして反対している。

Wikipediaイタリア語版。オレンジ色で囲まれた抗議文が掲載されている。

イタリア語版Wikipediaが、全コンテンツを覆うようにして抗議文を掲載するというキャンペーンを開始したのは10月4日のことだ。当初は6日までとしていたが、7日現在も全項目の上部に抗議文を掲載している。

イタリア語版Wikipediaチームが発表した声明文によると、現在イタリアで審議が進んでいる法案では、すべてのWebサイトは、自分のイメージに不利益だとして申し出があった場合、48時間以内に修正したものをコメントなしに掲載することなどを含むという。現行法案では、この申し出が適当なものかを審議するプロセスはないという。これにより、オンラインの新聞などの情報サイト、ブログに加えて、Wikipediaも影響を受けると主張している。Wikipediaは、非営利のWikimedia Foundationのプロジェクト。

法案は2009年6月に下院にあたる代議院を通過、その1年後に上院にあたる元老院により修正されている。

イタリアの首相、Silvio Berlusconi氏はメディア出身で、売春疑惑をはじめ女性問題、汚職などスキャンダルが多い。イタリア政府は、この法案はプライバシーを守るものと説明しているという。