日本マイクロソフトは6日、7月からスタートした2012年度の経営方針説明会を開催した。同社代表執行役 社長 樋口泰行氏が登壇。2012年の注力分野として、「デバイス/コンシューマー」、「クラウド」、「ソリューション」の3つを掲げた。

2011年度を振り返って

日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏

樋口氏は、まず2011年度を振り返り、主な成果として「Windows 7、Office 2010の導入/利用の促進」、「クラウド事業の本格化」、「社名変更と本社移転」、「グローバルレベルのパートナーシップ締結」、「ソリューションビジネスの加速」の5項目を列挙。着実に進化を遂げた1年と総評した。

特にクラウドに関しては、体制強化、パートナーシップ推進、オファリング拡充の3分野から事業力強化を実現できたことを強調。具体的な成果として、24時間365日利用できる日本語サポートや、1000社を超えるクラウドパートナーの確保、Office 365、Windows Intune、Dynamics CRM Online、Windows Azure、Hyper-V Cloudなどのサービスラインナップの拡充などが紹介された。

2011年度の主な施策

2012年度の方針 - デバイス/コンシューマー、クラウド、ソリューション

2012年度の方針については、まず、「日本の"変わる"を支援し、お客様やパートナー様からより信頼される企業へ」というコンセプトを掲げ、「日本企業がよりグローバルな関係を築ける状況を作り、国際競争力の向上を支援してきたい」と説明した。そのうえで、「デバイス/コンシューマー」、「クラウド」、「ソリューション」の3つを2012年度の注力分野として紹介した。

2012年度の経営方針

これらのうち、デバイス/コンシューマーでは、7月1日付けでコンシューマー&パートナーグループを新設。従来のコンシューマー&オンライン事業部で担当していた事業内容に加えて、Windows PhoneやスレートPC、OEM提供のPC、Xbox360なども扱っていくことを発表した。さらに具体的な施策として、Windows Phoneの新版を今年度中に国内に投入することや、パートナー各社を通じてスレートPCを続々とリリースすること、Kinectを利用したXbox360の有力タイトルを提供することなどを明言し、「コンシューマ市場ではモノがないと話にならない。今年度はモノが出揃ってくるので、総力を挙げて推進する」と語った。

また、クラウドに関しては、「震災の影響もあり、業界全体でクラウドへの関心が高まっている」と市場の動向を分析。続けて、同社のクラウドサービスがフルスタックで提供されていることに触れ、市場のニーズを取り込める状況ができていることを強調。今後は、さらなるパートナーシップを推進していくことや、「品質向上」、「サポート体制整備」、「可用性確保」に一層取り組んでいくことを説明した。

そして、ソリューションに関しては、顧客のグローバル展開支援などを強化項目として挙げ、「製品を軸にソリューションパートナーの付加価値を高める」とし、具体策としてパートナーのエンジニア育成に力を入れていくことなどに言及した。さらに、「ここ数年、顔の見えるマイクロソフトをアピールしてきたが、最近ではエンジニアの顔もみたいという要望がある」と述べ、本社のリードエンジニアを国内でも露出していくことも宣言した。

次期Windows Phoneのリリースに向けて

注目の次期Windows Phoneに話が及ぶと、樋口氏は「ビジネス用やプライベート用といったかたちで複数台の携帯電話を持つのは大変。本来は1台に集約すべきだろう。そういう意味ではこれまで培ってきたOfficeなどの技術が有利に働くはず」との見解を示したうえで、飲食店情報、道案内、旅行情報、ゲーム、電子書籍、SNS連携など、さまざまな分野でアプリケーションの拡充を進めていることを強調した。

さらに、コンシューマー&パートナーグループ コミュニケーションズ パートナー統括本部長の横井伸好氏は、同デバイスの特徴を「メトロと呼ばれる、他にはないUIを備えた注目デバイス」と紹介。また、デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏は、「無料の開発環境を準備していてるほか、ハンズオンセミナーなども積極的に展開していく」と述べ、Windows Phoneの開発者支援活動にも力を注いでいくことを明かした。