NTTソフトウェアは、PBXや社内で携帯電話を活用するための機能など、コミュニケーションプラットフォームを提供する「ProgOffice」の機能を強化し、節電機能「らくらく自動節電」を追加した「ProgOffice3.0」をリリースした。そこで、今回はその具体的な内容について、同社の担当者に話を聞いた。
東日本大震災の影響で、今年の夏は、東北電力と東京電力の管内では、電力不足が予想され、経済産業省は5月25日、東京電力と東北電力管内における今夏の電力使用制限について、正式に「15%削減」を大口需要家に対して求める法的措置を公表した。
東日本大震災発生以降、多くの企業では、自主的に節電対策を講じているが、社員の運用に委ねた場合、一定の効果はあるものの、責任の所在が不明確なため徹底した節電は難しい。したがって、さらに踏み込んだオフィスの節電対策を講じるには、分電盤の制御を含めた自動的な節電対策を実施する必要がある。ただ、そうなった場合、多額の費用が掛かる点や、そもそもテナントとして借りている場合は、工事自体が難しいというケースもあるだろう。
NTTソフトウェアが7月1日から販売開始する「らくらく自動節電」では、このあたりの悩みを解決するため、手軽に導入できるソリューションとなっている。価格は、自動制御サーバ式で533,000円となっている(サーバ本体を含む)。ほかに、サーバ構築、ネットワーク設計、ポリシー設計、ポリシー設定費用が必要になる場合がある。
「らくらく自動節電」では、位置情報節電、スケジュール節電、センサー節電の3つの機能を提供する。
位置情報節電では、社員が持つ携帯電話をはじめとした無線LAN機能を持つ端末等から、リアルタイムに位置情報を把握することで、フロア、部屋、部署、もしくは個人単位で、自動的に機器の電源のON/OFFを行う。一般的には、人感センサーを用いるのが通常だが、位置情報節電では、無線LAN機能を持つ端末がアクセスポイントの範囲内にあるかどうかで位置情報を取得する。例えば、フロア全体で使用するネットワーク機器は、フロアの全社員が退出するときに電源OFFしたり、自部署で使用するコピー機は、部署内の社員が近くにいなければ電源をOFFするなどといった具合だ。
スケジュール節電は、昼休みや休憩時間など、企業活動に合わせあらかじめ設定したスケジュールに応じ、照明、オフィス機器、ネットワーク機器の電源ON/OFF制御を行う。
センサー節電は、人感センサーの検知情報に応じて、照明、オフィス機器、ネットワーク機器のON/OFF制御を行うもので、同社によれば、エントランス・トイレなどの共有部で利用する機器類の節電に利用すると効果的だという。人感センサーというと、工事費など多額の工事費が発生するイメージがあるが、機器自体は、数千円から購入でき、天井に取り付けなくても、高所に置くだけで利用可能なものもあるという。
「らくらく自動節電」では、サーバに登録されたポリシーに従ってネットワークを介してコントロールを行い、社員と機器との関連付けは、管理者画面で無線LAN機器のMacアドレスを使って行う。制御可能な機器は、パソコン、プリンタ、ディスプレイ、コピー機などのOA機器や照明、PoE(Power over Ethernet)による給電を行っている無線アクセスポイント、IP電話機などだ。
パソコンの休止/停止は、スタンバイ/休止/シャットダウンの選択が可能で、人が近づいたことを感知しての電源ONもできる。無線LAN機器は社員と関連づけられているので、社員以外の人には反応しないようにできる。
コピー機やプリンタなどネットワーク制御が難しいものは、LAN端子を持った電源タップを活用することによりコンセント電源をON/OFFすることで、照明の自動OFF/ON制御は、ネットワーク機器を介し分電盤を操作することによって行う。
同社が社内で行った照明に関する実証実験では、社員が照明のスイッチを操作する運用による節電は、20%程度の削減であったが、「らくらく自動節電」による自動節電(センサ節電)では、約44%の節電効果があったという。特に、会議室やリフレッシュコーナーといった共用施設での効果が大きいという。
同社では導入ステップとして、急を要するこの夏の対策としては、数が多く利用時間の長い照明やPC/ディスプレイ、プリンタなどにスケジュール節電を導入し、その後のステップで、センサーによるより細かな節電対策を導入することを勧めている。