米Twitterは25日(現地時間)、Twitterクライアントを開発・提供する英TweetDeckの買収を明らかにした。買収金額は不明。New York Times紙やWall Street Journal紙などの米メディアは4000万-5000万ドルと報じている。
「TweetDeck」はTwitterのパワーユーザーをターゲットにしたTwitterクライアントで、Facebook、MySpace、LinkedIn、Google Buzz、Foursquareなどにも対応する。デスクトップ版、iOS版、Android版、Chrome版、Web版(限定ベータ)が用意されている。
TwitterはTweetie(昨年4月に買収)をベースにした公式Twitterアプリをすでに提供しており、今回のTweetDeck買収については「Twitterによる人気Twitterクライアントつぶし」と見る向きもある。
様々なサードパーティ製ツールが揃い、ユーザーが必要に応じてツールを選べるのがTwitterの魅力の1つだが、昨年後半からTwitterはTwitterクライアントに関して、公式Webや公式アプリの利用をユーザーに促し始めていた。理由は2つ。まず、Twitterの利用体験の統一。Twitterのガイドラインに従わないクライアントが存在し、ユーザーインターフェイスや操作のばらつきがユーザの困惑を招いていた。もう一つは収益モデルだ。例えば広告モデルを考えた場合、ユーザーがサードパーティのクライアントばかりを利用していてはTwitterの収益チャンスが失われる。ユーザーを公式Webに引き込むことが課題になる。
Twitterが収穫期を迎えた魅力的な市場であるのはサードパーティにとっても同じである。人気クライアントTweetDeckについては、マイクロブログ市場に食い込もうとするUberMediaが買収に乗り出していると報じられていた。それを防ぐためにTwitterがTweetDeck買収に巨額を投じたように見えるから「Twitterによる人気Twitterクライアントつぶし」というわけだ。
TweetDeckユーザーにとっては、Twitterによる買収後もTweetDeckが存続するかが気になるところである。TwitterのCEO、Dick Costolo氏は公式ブログで、「TweetDeckはブランドやパブリッシャー、マーケッターなどに、あらゆるリアルタイム・カンバセーションをトラッキングするパワフルなプラットフォームをもたらしている。この重要な支持者をサポートするために、われわれはユーザーに浸透し、そして愛されているTweetDeckへの投資を継続する」と、開発継続を約束した。