4月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2011年3月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1,041件/2,910億7,500万円、商工リサーチの発表では1,183件/2,702億4,400万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2011年3月の全国企業倒産の件数は、前月比(884件)比で17.8%の増加となったが、前年同月(1,148件)に比べて9.3%の減少で、2ヵ月連続で前年同月比減少となった。しかし、2010年6月の1,085件以来、9ヵ月ぶりに1,000件を上回った。

2011年3月の全国企業の負債総額は、前月(3,919億8,200万円)比は25.7%、前年同月(2,963億8,300万円)比は1.8%の減少となり、5ヵ月連続で前年同月を下回った。平均負債額も2億8,000万円と2ヵ月ぶりに3億円を下回る水準となった。

全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、全業種で前年同月を下回った。なかでも、製造業は2年8ヵ月ぶりに120件を下回った前月(118件)に比べて22.9%上回ったが、前年同月比15.2%の大幅減となった。建設業(272件、前年同月比10.8%減)、卸売業(154件、同10.5%減)も2ケタの減少率を記録した。

地域別では、9地域中4地域で前年同月比に比べて減少し、なかでも九州(56件)は前年同月比25.3%の大幅減少となったほか、関東(366件、前年同月比19.0%減)、近畿(262件、同17.9%減)でも減少が目立った。一方、中部(165件、同24.1%増)は前月の156件を上回り2ヵ月連続して過去10年で最多を記録するなど、4地域で前年同月を上回った。

商工リサーチの調査結果

2011年3月の倒産件数は、前年同月(1,314件)比で9.9%の減少となり、20ヵ月連続で前年同月を下回った。連続減少期間としては、1971年6月から1973年4月までの23ヵ月連続に次ぐ過去4番目の長さ。3月としては、2005年(1,140件)以来年6年ぶりに1,200件を下回り、依然として政府の金融支援効果による倒産抑制が続いている。しかし、東日本大震災による直接被害や取引先の被災、製品・原材料の入手不足などから経営に支障をきたした「震災関連」倒産が3月末で6件判明しており、同社では「今後の推移が懸念される」としている。

2011年3月の負債総額は、前年同月(3,109億4,700万円)比で13.0%減で、5ヵ月連続で前年同月を下回った。負債額別では、1億円未満の構成比が66.3%、従業員数別では5人未満の構成比が67.0%を占めて、引き続き小・零細規模の企業倒産を中心に推移した。

全国企業倒産月次推移 資料:商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、7産業が前年同月を下回った。増加したのは、農・林・漁・鉱業42.8%増(7件→10件)、不動産業32.3%増(34件→45件)、小売業2.2%増(134件→137件)の3産業。

主要産業倒産件数推移 資料:商工リサーチ

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、5地区が前年同月比を下回った。増加したのは、四国70.0%増(20件→34件)、中部34.2%増(146件→196件)、北海道25.0%増(36件→45件)、中国8.6%増(46件→50件)の4地区だった。