トヨタ自動車(以下、トヨタ)と日本マイクロソフト(以下、マイクロソフト)は4月8日、前日に発表したテレマティクス分野の提携内容に関する説明会を開催した。EV(電気自動車)/PHV(プラグインハイブリッドカー)向けのテレマティクスサービスを共同で開発し、そのサービスをWindows Azure上で動作させるほか、トヨタのIT事業会社「トヨタメディアサービス」が行う10億円の増資を米Microsoftとトヨタで引き受ける。

トヨタの次世代環境車戦略。今回発表されたテレマティクスサービスは、この中のEVとPHVを対象にしたサービスになる

提携のねらいについて、トヨタ 常務役員 友山茂樹氏は、「トヨタの有する次世代テレマティクス技術や家とクルマをつなぐ電力マネジメント技術と、マイクロソフトの有するクラウド技術および広大な情報インフラを融合させることにより、低酸素・省エネルギー社会を早期に実現すること」と説明。トヨタではすでに、エネルギー消費を統合的にコントロールする「トヨタスマートセンター」の実証実験を豊田市にて実施しているが、そのプラットフォームをWindows Azureに移し、世界各地で利用できる環境を作る。

トヨタが考えるWindows Azureへの移行メリット

トヨタスマートセンターの具体的な機能としては、スマートフォンを使ってEV/PHVの状態を確認したり、各種機能を操作したりといったものが挙げられた。例としては、「スマートフォンから自動車の電池残量を表示」、「スマートフォンから充電開始時刻を設定」、「スマートフォンから充電中の自動車のエアコンを起動」といった遠隔操作機能のほか、電池残量で移動できる距離を表示して充電スポットを提示したり、ドライバーの走り方を分析して燃費効率を高めるアドバイスを表示したり、などの走行に関係した機能も紹介された。

また、日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏は、今回の提携におけるMicrosoftの役割として、「Windows Azure上でのテレマティクスサービス向けアプリケーション開発」、「トヨタへのマイクロソフト技術のスキルトランスファー」、「米国本社と連携したグローバル展開・運用のサポート」の3つを列挙。すでに、トヨタが提供するテレマティクスサービス「G-BOOK」において、震災直後に被災地の通れた道をBing Maps上で表示する「通れた道マップ」を開発期間1日でリリースしたことなども事例として紹介した。

両社は当面の目標として、EV/PHV向けのテレマティクスサービスを2012年に日本と米国で同時にリリースすることを発表。その後、世界各国にも展開していく意向という。さらにトヨタでは、トヨタスマートセンターについて、「オープンなプラットフォームとして運営していく計画で、他の自動車メーカーから問い合わせがあれば前向きに検討してく」(友山氏)としている。

なお、トヨタメディアサービス向け増資10億円の両社の出資比率については、これから調整するとしている。

がっちりと握手するトヨタ 常務役員 友山茂樹氏(左)と日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏(右)