Ubuntu is a community developed operating system that is perfect for laptops, desktops and servers.

Ubuntuの主要開発企業であるCanonicalのMark Shuttleworth氏が、次期UbuntuとなるUbuntu 11.04におけるデフォルトのメディアプレーヤ「Banshee」を巡る、ここ数週間の激しい議論に対してCanonicalとしての意図を説明した。今回の対応は、熱心なコミュニティを持つオープンソースソフトウェアにおいて、開発を継続するための利益を得ることの難しさを示す事例として興味深い。

Ubuntu 11.04ではデフォルトのメディアプレーヤがRhythmboxからBansheeへ変更される。ディスク容量の削減がその理由のようだ。ただし、今回の議論の中心は、ソフトウェアの内容ではなく、Bansheeを使ってAmazonから音楽を購入した場合の収益の扱いにある。

現在、BansheeからAmazon経由で音楽を購入した場合の収益は、GNOME Foundationに回されている。Bansheeにおける利益をGNOMEのサポートに使うという仕組みだ。

こうした状況において、CanonicalはUbuntuでBansheeをデフォルト採用した場合の収益分配モデルを提案した。今後、UbuntuのBansheeでAmazonをデフォルトのオンラインストアに設定した場合、そこから得られる収益の75%をCanonicalが得て、残り25%をGNOMEに回すというものだ。この方式で同意が得られないときには、Amazonをデフォルトのオンラインストアには設定しないようにする方法も考えられると補足。この場合、Ubuntu Oneがデフォルトのオンラインストアとして使われることになる。

Canonicalとしては同社の収益を確保しつつBansheeやGNOMEを支援する意図を込めてこの提案をしたが、Banshee側は本来GNOMEのサポートに回るはずの収益が減ることになるとしてこれを拒否。Amazonをデフォルトにする必要はないという選択をした。この方式であれば、ユーザが後からデフォルトをAmazonに変更した場合、そこから得られる収益はすべてGNOMEのサポートへ回ることになる。しかし、このように受け止められたことはCanonicalの意図に反していたようだ。

Mark Shuttleworth氏はブログの中で、意図を説明する前に提案を行ったことがこうした混乱を招いたとコメント。考えをはっきり示すことでコミュニティの理解を得たいとして、長文を掲載している。その内容はUbuntuをベースにエコシステムを構築し、Canonicalもアプリの開発者も恩恵を受けられるようにしたいというもの。仕組みとしてはCanonicalが得る収益をアプリケーションの開発者に分配するといったモデルを考えているようだ。Bansheeにおける提案も、こうしたエコシステム構築の考えに基づいた行動となる。

Canonicalが今後も継続してUbuntuの開発を手がけていくには、安定した収益源が必要といえる。このため、今回の取り組みを当然のこととして理解を示すユーザや開発者がいる一方、Banshee経由で得られるGNOME Foundationの収益を奪うようなことをすべきではないと非難する意見もある。オープンソースそのもので収益が得られるモデルを確立するのが難しいというのは紛れもない事実。Canonicalが今後どういったモデルを確立し、収益を確保していくのか興味深い。