IDC Japanは2月10日、国内製品別IT市場について、2010年第3四半期(7月~9月)の実績および最新の景気動向などに基づく予測を発表した。これによると2010年同市場は12兆5,420億円、前年比成長率2.3%で、2009年の前年比成長率マイナス11.4%から大幅に改善する。

2010年10月の前回の予測(0.6%)から1.7ポイントの上方修正となったが、その主な要因には、PCとコンバージドモバイルデバイス(スマートフォン)の需要が伸びたことがある。

同社は国内IT市場を構成する市場として、「ハードウェア市場」「パッケージ ソフトウェア市場」「ITサービス市場」に分けて動向をまとめている。

2010年ハードウェア市場は5兆3,359億円、前年比成長率5.6%で、2009年のマイナス17.9%から大幅改善となった。その主因はPCとコンバージドモバイルデバイスがそれぞれ12.4%、9.3%と高成長である点だ。コンバージドモバイルデバイスは今後も高い成長が見込まれているが、PCをはじめ多くのハードウェア製品が2011年以降はマイナス成長となり、ハードウェア市場全体の2009年~2014年の年間平均成長率はマイナス0.7%、2014年の市場規模は4兆8,719億円と予測されている。

2010年パッケージ ソフトウェア市場も前年比成長率2.8%、2兆2,520億円と、2009年のマイナス10.9%から大幅に改善される見込み。その理由として、これまで延伸されていたサーバやPCの更改が立ち上がり、幅広いパッケージソフトウェアの需要が戻ってきていることが挙げられている。今後、仮想化やクラウド構築、企業情報活用のためのBA/BI、IFRS対応などの需要により市場が堅調に拡大すると同社は見ており。2009年~2014年の年間平均成長率はプラス2.7%、2014年の市場規模は2兆5,023億円と予測されている。

2010年ITサービス市場は4兆9,541億円、前年比成長率はマイナス 1.3%と、2009年の前年比成長率マイナス3.9%からは改善されているが、新規システム構築の需要が低調で、マイナスを脱するには至っていない。同社は景気回復に伴い、クラウド構築、M&Aによるシステム統合、BA/BI、IFRS対応などの案件が活発化してくると見ており、2009年~2014年の年間平均成長率はプラス1.7%、2014年市場規模は5兆4,658億円と予測している。

クラウド、ワイヤレスブロードバンド、モバイルアプリケーションの普及により、PCからコンバージドモバイルデバイスやメディアタブレット(国内IT市場規模には計上していない)へ需要がシフトしてくるとして、スペンディング/ITサービス/ソフトウェア&セキュリティ/コミュニケーションズ グループディレクターの和田英穂氏は「ITベンダーはハードとコンテンツ配信の融合など新たなビジネスモデルへ挑戦することが生き残りのために必須」と分析している。

国内IT市場 投資額予測(2009年~2014年) 資料:IDC Japan