インテルは1月21日、教育のICT普及促進に向けた"児童1人に1台のPC"プロジェクトとして内田洋行と進めている東京都中央区立城東小学校における教育用ノートPCを活用した授業の実証実験の一環として公開授業を実施した。
今回公開されたのは同校4年生の理科の授業。同校にて進められているプロジェクトでは当初、国語と算数に加え、新学習指導要領により2011年度から小学校5・6年で必修化される外国語活動(英語)を対象授業としており、理科の授業は含まれていなかった。そうした中、今回は、子ども達の気付きの力の育成などを目的に理科を選択、具体的な授業内容としては、「星の動きを調べよう」というもので、オリオン座を課題とし、児童自らが考え、協働学習をし、プレゼンテーションによって自分の考えを表現しようというもの。
インテルとしても、「単なるICTに慣れ親しむという意味ではなく、プレゼンテーション能力や問題の発見能力といった、企業に入る際に求められる能力を、どうやって児童らに体感させるかを重視してプログラムを進めている。今10歳程度の児童でも、大学を卒業して社会人になるという流れを考えれば、その期間はおよそ10年。それが早いのか短いのかは難しいところだが、早いうちから、そうした能力を鍛えることで、企業に入るときに、少しでも即戦力となるような能力を身に着けてもらえることを目指している」と詰め込み方式の授業ではなく、自らが気付き、周囲と協調して問題を解決していくコミュニケーション能力などの育成を主眼の1つとしているという。
実際の授業では、事前に夜の7時、8時、9時といった時間に見たオリオン座の位置を記した用紙を見ながらインテルが教育用途に開発した「インテル クラスメイトPC」を用いて、児童向けプレゼンテーション資料作成ソフト「School Presenter EX」を用いて、オリオン座の各時間ごとの位置を入力。それと、教室前面にある50型のタッチスクリーン対応のプラズマディスプレイをワイヤレスLANで接続し、児童が各々の観察において気付いた点の発表を行った。
実際に児童がクラスメイトPCを活用している様子。PC右のUSBメモリの中には、今回の理科の授業用データが入っている |
「School Presenter EX」の利用画面 |
実際に観察した記録を記した用紙。本当であれば、PCを持ち帰って、PC上で記録を、という形にしたかったが、電源の問題や紛失時の対応などがまだ不十分ということで、今回は見送られた |
オリオン座は時間の変化とともに、見ている位置から、東から南、そして西へと動いて行くこととなるが、そうした位置の変化のほか、高さや傾きの変化が発表されたほか、児童によっては、星の輝き方や他の星(太陽や月)の動きと似ていることなどが発表された。
また、どんなに方位や傾き、高さが変わってもオリオン座の形が変わらないことも、PCのモニタに記した各時間ごとの様子を比較して、児童の気付きへとつなげるといったことも行われた。
そして授業の最後は、新たに夜10時のオリオン座の位置や動きを予測するというもので、自宅でその予想と結果を比較し、週明けの授業にて再び結果を発表するという形で終了となった。
「PCの活用は、単に授業だけでなく、調べ物などにも活用しており、児童の興味、関心を高めるなどの効果を出していますが、教師側としてもどう活用していくかの答えがまだ見つかっていないというのが現在の状態。教師の方が児童よりもPCや電子黒板の扱いに慣れていない部分もあり、そうした意味でも、今後もどういった活用の仕方が良いのかを児童の様子も含めて、取り組んでいければ」(今回の公開授業を担当した同校の竹ノ内先生)と、実際の教育現場としては、一定の成果を出しつつあり、今後、問題点などの修正を含めて、より効果的な活用方法を見出せればとの期待を見せた。
なお、同校におけるインテルと内田洋行による実証実験は2011年3月で終了する予定だが、同校としては、継続的に授業で活用していければとの意向を示している。