Web分析サービスのStatCounter(アイルランド)は1月4日(現地時間)、2010年12月の欧州のWebブラウザシェアで、「Firefox」が初めて「Internet Explorer(IE)」を抜いて首位になったと発表した。だがIEのシェアを侵食しているのはFirefoxではなく「Google Chrome」で、注目はChromeが今後どこまで上位に詰め寄るかといえそうだ。
StatCounterはWebサイトのトラフィック情報を無料で提供するサービス事業者で、300万以上のWebサイト(月間150万以上のページビュー)をサンプルとする。それによると、2010年12月度、欧州市場におけるFirefoxのシェアは38.11%、IEは37.52%となり、Firefoxが初めてIEを押さえて1位となった。1年前(2009年12月)はIEのシェアは44.84%、Firefoxは40.08%、IEはその後、じわじわとシェアを落とし、同年10月に40%台を下回っていた。Firefoxは、フィンランド、ベルギーなど複数の欧州国ですでに1位の座についていたが、欧州全体では初の首位となる。
だが、Firefoxのシェアはこの1年、38% - 45%の間を推移しており、Firefoxが首位獲得に至ったのはFirefoxがシェアを伸ばしたというよりも、IEのシェアが減ったことによる。Firefoxがシェア値を維持する一方、IEからシェアを奪ったのはChrome。2009年12月には4.44%で3位だったのが、2010年12月には14.58%。1年間で10ポイント以上シェアを増やしたことになる。4位は、ともに4%台の「Opera」と「Safari」が競っている。
IEは世界的にシェア減少傾向にあるが、今回の欧州での首位脱落は「主要地域では初」という。欧州では、米Microsoftが2010年3月よりWindowsユーザーにWebブラウザの選択画面を提供しており、Firefox、ChromeなどさまざまなWebブラウザから選択できるようになっている。この選択画面は、MicrosoftによるIEとOSの紐付けが独占禁止法に抵触するとして調査を進めていた欧州委員会(EC)とMicrosoftの合意に基づくもの。StatCounterでは、同選択画面の影響がシェアに出ていると見ている。
なお、同社の世界市場のデータでは、IEのシェアは46.94%、Firefoxは30.76%、Chromeは14.85%となっている。