米司法省は12月15日(米国時間)、2010年4月にメキシコ湾沖で発生した石油流出事件で、石油大手の英BPら9社を相手取り民事訴訟を起こしたことを明らかにした。BPのほか、請負業社のTransocean、三井物産系米国企業も含まれている。司法省側は「米国の歴史上最悪の流出事件」とし、被告企業に損害賠償の支払いを求める構えだ。
この事件は4月20日、BPがメキシコ湾に持つ採掘施設が爆発したもの。請け負い業者Transoceanのリグ「Deepwater Horizon」が爆発し、11人が命を落とした。海底へのパイプが折れたことからその後も石油の流出が続き、海岸に石油が流着。その後の原油回収作業にも手間取った。
司法省はこれまで民事と刑事の両方で調査を続けてきた結果、米ルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地方裁判所で提訴した。封じ込めに3カ月を要したこと、その間メキシコ湾の住民、環境、経済が影響を受けたことなどを主張している。
被告企業は、BP、天然資源探鉱・生産のAnadarko Exploration & ProductionとAnadarko Petroleum Corporation、三井石油開発の米国子会社MOEX USAの完全子会社のMOEX Offshore 2007、石油リグサービスTriton Asset Leasing、Transoceanおよび同社の子会社2社、海上保険のQBE Underwriting(Lloyd’s Syndicate 1036)の合計9社。
爆発前に必要な予防措置を講じなかった、石油井の状態をモニタリングする最も安全なドリル技術を利用しなかった、石油井を継続的に監視しなかった、人員、資産、自然資源、環境の安全性を確保するために利用できる機器などの使用とメンテナンスをしなかった、の4点の過失を主張、Oil Pollution Act法とClean Water Act法の下で責任を追及するとしている。
司法省側は損害賠償額に触れていないが、Financial Timesによると、BPは210億ドルを上回る損害賠償額を支払う可能性もあるという。
今回の被告企業には、石油井でセメント作業を担当したHalliburtonは含まれていないが、司法省側は調査は引き続き継続しているとして、被告企業が追加される可能性を示唆している。