日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏

日本オラクルは11月29日、同社が提供するアプリケーションテストソリューションの新バージョン「Oracle Application Testing Suite 9.2」を発表、同日提供開始した。同製品は2008年に同社が買収した旧エンピレックスのWebアプリケーションテストツール「e-Test Suite」を発展させたもので、今回のバージョン9.2からはOracle Databse専用のアクセラレータなども用意される。日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏は「負荷テスト/機能テスト/テスト管理の機能をすべて兼ね備えた、業界唯一の統合テストソリューション。Oracle DBの専用テストツールがいよいよ市場に登場した」と自信を見せる。

Oracle Application Testing Suite 9.2は大きく3つのツールで構成される。Webアプリケーションの負荷テストを行う「Oralce Load Testing」、機能テストを行う「Oracle Functional Testing」、そしてテストプロセスの管理を行う「Oracle Test Manager」だ。今回のバージョンアップでは多くの新機能や改善点が盛り込まれているが、最も特筆すべきはデータベース(Oracle Database)の負荷テスト/機能テストに最適化したことだろう。負荷テストツールのOralce Load Testingに加わったアクセラレータ「Oracle Load Testing Accelerator for Database」を実装することで、データベースの負荷テストと機能テストをすべて自動化できるようになる。

Webアプリケーションの本番システムをカットオーバーする前には、データベースの機能テストと負荷テストの両方を行うことがいまや"絶対条件"となっている。これまではOracle Database 11gの機能であるOracle Real Application Testingで機能テストの効率化は実現できていたが、負荷テストに関しては「HP LoadRunnerなど他社製品を使って手動で行っていた」(三澤氏)のが実情だった。だが新しく提供されたOracle DB用アクセラレータをReal Application Testingと連携させることで、データベースの機能テストと負荷テストを実現し、テスト効率と開発生産性を向上させることが可能になる。加えて、Oracle Load TestingおよびOracle Functional Testingには多彩なスクリプトを作成できる「OpenScript」というツールが付属しており、SQLやPL/SQLファイルのインポート、SQLスクリプトの手動作成、Oralce Real Application Testingのキャプチャファイルインポートなどが可能になっている。「実際の負荷テストに入る前の準備は、すべてOpenScriptで行うことができる」(日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 データベースソリューション本部 データベースソリューション部 プリンシパルエンジニア 中島良樹氏)

Oracle Load Testing Accelerator for Databaseにより、データベーステストの迅速化が実現する

Oracle Load Testingは遠隔操作も可能なので「東京から大阪のデータセンターに対して不可テストを実行することもできる」(中島氏)とのこと。Oracle Enterprise Managerとの親和性も高く、過去のテストデータを取り出して比較することもでき、グラフによるレポートもさまざま作成できる

その他の新機能としては、64ビットプラットフォーム対応、Adobe Flexで構築されたRIAコンテンツの対応、Oracle EBSやSiebel、Oracle Application Development Framework、Enterprise Managerなどのオラクル製品との連携強化などが挙げられる。

三澤氏は「ITシステムの開発サイクルは短縮化する傾向にあり、時間やコストは限られるのに、品質は確保しなければならないという二律背反の傾向が強い昨今、効率的なテスト手法に対しての関心は非常に強くなってきている。Oracle Application Testing Suite 9.2によって、アプリケーションのテストプロセスの迅速化と、他社製品を利用する場合に比べて大幅なコストダウンが実現する」と語る。

製品ライセンス価格は、Oracle Load Testingが1ユーザあたり1万1,145円(最小ユーザ数200)、Oracle Load Testing Controllerが1CPUあたり79万8,945円、Oracle Load Testing Accelerator for Databaseが1ユーザあたり2,835円(最小ユーザ数50)などとなっている。SiebelやEBS用のアクセラレータも別に用意されている。データベース負荷テスト用の最小構成価格は322万9,695円。対応プラットフォームは、Windows XP Professional、Windows Vista Business、Windows 7、Windows Server 2003、Windows Server 2008で、いずれも32ビット/64ビットに対応する。