PFUは10月18日、同社のイメージスキャナ「fiシリーズ」を起点とした紙文書電子化ソフトウェアとサービスの強化を目指し、帳票の作成から印刷、紙文書電子化までを一貫して支援するソフトウェア「ScanConnect」を発表した。また、これに伴い、同社が提供する各種紙文書電子化ソフトウェアならびにサービスを新たに体系化しなおしソリューションブランド「PaperStream」として提供していくことも明らかにした。

企業における紙文書の電子化は無駄の削減や生産性向上、コンプライアンス対策などの観点からニーズが増えているが、電子化に伴う導入コストや、クライアントなどの企業との兼ね合いから紙ベースでのやり取りといった問題も残されている。

PFUでは2001年よりスキャナを活用した紙文書の電子化ビジネスを開始、2004年には紙文書の電子化ソリューションを、2007年からはECMソリューションをそれぞれ提供するなどの取り組みを行ってきており、「そうした取り組みの中において、4つのニーズが見えてきた」(PFUソリューション&ソフトウェアグループ ECMソリューション事業部 商品企画開発部 担当課長の福地健三氏)という。その4つのニーズは以下のとおり。

  1. 業務効率化
  2. コストダウン
  3. コンプライアンス対策
  4. 紙文書電子化導入の時間

紙文書の電子化に求められるニーズ

帳票などを電子化する場合、従来は手作業で領収書や入金伝票、出張・交通費などをそれぞれ仕分けてからスキャナで取り込んでいた。また、スキャン後、キーワードやタグの入力といった手間も存在しており、業務効率化を図ろうとして、余分な業務が増えてしまうということもあった。また、業務システムと電子化された文書の連携などをどうするかといったシステム全体でのコストや、導入期間がどれくらいかかるのかといった問題が上記のニーズの根幹にあるとのことで、それを解決するためのソリューションとして「PaperStream」が用意された。

紙文書の電子化ニーズに対応するための課題

こうした課題の中において、導入したら余計に手間が増えた、という問題を解決するために開発されたのがScanConnect。同ソフトを活用することで、高い精度で帳票を自動で識別し、キーワードなども自動で入力できるようになる。具体的には機能の1つであるScanConnectデザイナを活用することで、あらかじめOCRが文字認識しやすい帳票を作成することが可能となる。特に帳票識別に影響を及ぼす罫線やフォント、配置などについてOCRでどの程度読み取りやすいかのチェックが行うことが可能となる。「デザイナとOCRは同じエンジンを活用することで、判別能力を向上させている」(同)とするほか、印刷の定義とOCRの認識の定義を従来、帳票とOCRの作成で別々だったものを同一としたことで、帳票がよく変更されるような職場においても、対応可能としている。

紙文書の電子化を低コストで支援するソリューション

OCRを行う時に認識率を上げられるように処理することが可能

また、実際の使用では、プリンタの性能や紙の汚れなどにより、文字の判別が難しくなったり、認識できない箇所が発生したりするが、そうした箇所のみをNGとして表示することも可能となっており、「これまで、全数チェックしていた手間を省くことも可能」(同)とする。

NG状態のものだけなどを絞り込んで表示することが可能

スキャナで読み取った帳票を自動で識別するほか、NGのものだけリストアップすることも可能

一方、PaperStreamでは、ScanConnectのほか、紙暗号化ソフト「Docencrypt」や手書き帳票OCRソフト「DynaEye」、存在証明と完全性証明を付与する「PFUタイムスタンプサービス」といったソフトウェア/サービスを「Technology Suite」とし利用用途に応じて最適なものを提供するほか、電子化されたデータの管理・活用ソリューションを「ECMパッケージ」として、こちらも用途に応じた最適なものを提供する。また、さらに後段の業務システムとの連動などにも個別案件などの扱いになるが対応が可能とするほか、クラウド環境への対応も進めており、同社スキャナ「ScanSnap」をSalesforceと連携させるソリューションを2010年12月より提供開始する予定で、これにより、「名刺データを読み取り、Salesforce上の顧客データとして活用することなどが可能となる」(同)という。

PaperStreamの概要

「基本的にPaperStreamは、紙があれば必ずスキャナを活用する、という流れを目指したソリューション。何かあるたびに、紙を印刷してチェックを行うという行為では、電子化して紙を減らそうという動きなのに、本末転倒となる。そういった意味では、より簡単、かつ低コストで電子化できるソリューションの提供をグローバルに向けて提供していければ」(同)と、将来的な世界展開も視野に入れていくとの目標を示す。

PaperStreamのラインアップ

なお、ScanConnectは、Windows XP/Vista/7(32ビット版のみ。各種Home Editionは適用外)に対応し、帳票仕分け(プルダウンメニューによる分類)やキーワードリスト作成(キーボード入力)、マーカOCR/ゾーンOCRといった基本機能を搭載した「基本パック」が4万8000円(税別)、基本パックにQRコードやバーコードによる帳票自動仕分け機能や同じくQRコードやバーコードによるキーワードリストの自動作成機能を搭載した「QRパック」が9万8000円(同)、さらに、帳票レイアウトを元に自動で帳票を分類する帳票自動仕分け機能およびキーワードリスト自動作成などのすべての機能を搭載した「OCRパック」が14万8000円(同)となっているほか、帳票を作成する「ScanConnect デザイナ」が19万8000円(同)、デザイナで作成した帳票を出力する「ScanConnect 帳票出力」が9万8000円(同)となっている。

PaperStreamの特長