矢野経済研究所は9月15日、国内携帯電話市場に関する調査結果を発表した。

それによると、2009年度における国内の移動体通信端末(携帯電話、PHS、WiMAX)の出荷台数実績は前年度比92.3%の3681万7000台。減少の理由としては、「市場の飽和感や経済環境の悪化による買い控え」、「長期契約・割賦販売導入などビジネスモデルの変化による買い替え期間の長期化」、「買い替えを促進する機能やサービスが乏しかったこと」が挙げられている。

また、2010年度の出荷台数については前年度比101.5%の3736万台と予測。特にスマートフォンに関しては、前年度比196.1%の426万5000台と大幅増を見込んでいる。矢野研究所では、出荷台数が増加に転じる理由として、「長期契約ユーザーの更新が通年で発生することに加え、スマートフォン、モバイルデータ通信サービスなどを利用する『ワイヤレス・ブロードバンド』サービスの市場が本格的に立ち上り始めた事で端末市場の活性化が見込まれる」と説明している。

将来の展望については、2013年度に2009年度比122.6%の4516万5000台に達するとの見方を示し、それを牽引する技術として「ワイヤレス・ブロードバンド」を挙げる。その理由として「2012年度以降にLTE、携帯端末向けマルチメディア放送の本格導入が見込まれている」といった要素を並べ、「高速モバイルデータ通信サービスの利用増加が市場を拡大させる」と予測している。

なお、今回の調査は2010年6月~8月にかけて実施。調査方法は、内移動体通信サービス事業者、国内携帯電話メーカー、半導体メーカー、業界団体等に対する直接面談や電話・e-mailによるヒアリング、および文献調査併用。